「Albedo 0.39」(邦題は「反射率0.39」)はギリシャのキーボード・シンセサイザー奏者、電子音楽家、作曲家、映画音楽家な ど、多彩な呼ばれ方をされるヴァンゲリス、あるいはヴァンゲリス・パパサナシュー(Vangelis:Ευάγγελος Οδυσσέας Παπαθανασίου)の、1976年発表のソロ第3弾である。
タイトルの反射率0.39とは、地球が太陽光を反射する割合のこと。余談だが、地球の反射率 (albedo:アルベド)は、現在は0.31に訂正されているという。
音楽は雄大な広がりを見せるシンセサイザーを中心とした音楽なのだが、一般的なイメージである“シンセ サイザー・ミュージック”とは異なるところがヴァンゲリスの特徴だ。
ヴァンゲリス:キーボード、各種シンセサイザー、ドラムス、ベース
その他全てのサウンド
まず彼は譜面の読み書きができないと言われる。その代わりキーボードのみならず、ギターやドラムスもプレイする。つまりマルチ・プレーヤーなのである。 したがって作曲はキーボードを中心に実際に音を出しながら行い、そこに自ら弾くベースやドラムス、パーカッションなどを重ねて、一人多重録音形式で曲を完成させていくという。
担当楽器を見てもわかるように、トーキング・クロックとNASAの協力によるアポロの月着陸時の交信が効果音として使われているのと、「Albedo 0.39」における語り(リハーサル時のミキサーの声と言われる)を除くと、演奏はすべて彼自身の手によるものである。
こうして作られた曲は、シンセサイザーをメインにしているとは言っても、抽象的なサウンドともプログラミングされたようなサウンドとも異なり、手弾きのメロディーによる、極めてアナログな感触の強い曲なのだ。それが雄大な曲想にロック的なダイナミズムを与えている。
1980年代に入って映画「炎のランナー」や「ブレード・ランナー」などの映画音楽で知名度を上げ活 動も多彩になっていき、メロディーやアレンジも親しみやすいものへ変わっていく。しかしこの「反射率0.39」の頃は、まだ“一人多重録音によるロックバン ド”的な雰囲気が強いの大きな特徴であり魅力なのだ。
すでに確立されていた美しいメロディーによる 「Pulstar」や「Alpha」といったシンフォニックな代表曲も含まれているし、シンセサイザーの反復の上に即興的な演奏が被さる、ジャズ・テイス トの感じられる曲なども聞くことができる。また効果音を使った実験的な曲も、アルバムのトータル性に貢献している。多彩だ。
そして表情豊かなブラス系のメロディー音と、バンド形式のバック、そしてメロトロンではなくシンセサ イザーによるオーケストレーションは、時として英国のエニド(The Enid)の音にもかなり接近する瞬間があるのだ。 ドラムスがオーケストラのパーカッションとロックのドラムスの中間のような位置で、曲ごとの役割を的確に果たしているという感じである。
リック・ウェイクマンの脱退によりイエスから声がかけられたことでも有名だが、この完成された世界はイエスには合わないだろう。彼はプレーヤーでありつつオーガナイザーであり、超絶ソロプレイを求められるイエスのキーボード・プレーヤーとは、全く違う次元のミュー ジシャンなのだ。
決してテクニカルではなく、無茶なこともしていない。全てのサウンドが緻密に重ねられて作られるドラマチックで、深遠な音世界である。傑作。
タイトルの反射率0.39とは、地球が太陽光を反射する割合のこと。余談だが、地球の反射率 (albedo:アルベド)は、現在は0.31に訂正されているという。
音楽は雄大な広がりを見せるシンセサイザーを中心とした音楽なのだが、一般的なイメージである“シンセ サイザー・ミュージック”とは異なるところがヴァンゲリスの特徴だ。
ヴァンゲリス:キーボード、各種シンセサイザー、ドラムス、ベース
その他全てのサウンド
まず彼は譜面の読み書きができないと言われる。その代わりキーボードのみならず、ギターやドラムスもプレイする。つまりマルチ・プレーヤーなのである。 したがって作曲はキーボードを中心に実際に音を出しながら行い、そこに自ら弾くベースやドラムス、パーカッションなどを重ねて、一人多重録音形式で曲を完成させていくという。
担当楽器を見てもわかるように、トーキング・クロックとNASAの協力によるアポロの月着陸時の交信が効果音として使われているのと、「Albedo 0.39」における語り(リハーサル時のミキサーの声と言われる)を除くと、演奏はすべて彼自身の手によるものである。
こうして作られた曲は、シンセサイザーをメインにしているとは言っても、抽象的なサウンドともプログラミングされたようなサウンドとも異なり、手弾きのメロディーによる、極めてアナログな感触の強い曲なのだ。それが雄大な曲想にロック的なダイナミズムを与えている。
1980年代に入って映画「炎のランナー」や「ブレード・ランナー」などの映画音楽で知名度を上げ活 動も多彩になっていき、メロディーやアレンジも親しみやすいものへ変わっていく。しかしこの「反射率0.39」の頃は、まだ“一人多重録音によるロックバン ド”的な雰囲気が強いの大きな特徴であり魅力なのだ。
すでに確立されていた美しいメロディーによる 「Pulstar」や「Alpha」といったシンフォニックな代表曲も含まれているし、シンセサイザーの反復の上に即興的な演奏が被さる、ジャズ・テイス トの感じられる曲なども聞くことができる。また効果音を使った実験的な曲も、アルバムのトータル性に貢献している。多彩だ。
そして表情豊かなブラス系のメロディー音と、バンド形式のバック、そしてメロトロンではなくシンセサ イザーによるオーケストレーションは、時として英国のエニド(The Enid)の音にもかなり接近する瞬間があるのだ。 ドラムスがオーケストラのパーカッションとロックのドラムスの中間のような位置で、曲ごとの役割を的確に果たしているという感じである。
リック・ウェイクマンの脱退によりイエスから声がかけられたことでも有名だが、この完成された世界はイエスには合わないだろう。彼はプレーヤーでありつつオーガナイザーであり、超絶ソロプレイを求められるイエスのキーボード・プレーヤーとは、全く違う次元のミュー ジシャンなのだ。
決してテクニカルではなく、無茶なこともしていない。全てのサウンドが緻密に重ねられて作られるドラマチックで、深遠な音世界である。傑作。