夢の丘(1991年)
KENSO(ケンソー)
「夢の丘」は日本が世界に誇るプログレッシヴ・ロック・バンドKENSO(ケンソー)による1991年発表の6枚目のアルバム。前作「スパルタ」制作途中からベースとドラムスのリズム陣が交代し、新たな布陣で作り上げた渾身の一作。
清水義央:ギター
小口健一:キーボード
光田健一:キーボード
三枝俊治:ベース
村石雅行:ドラムス
オールインストゥルメンタルである。しかしフュージョンのように耳にすんなりと入ってこない。ジャズロックというほどジャズの色合いは感じられない。そこには緻密に計算された変拍子と、細かなリズムチェンジがあるからだ。これにより一聴した時に曲の全体像を掴みにくい。一つの明確なメインメロディーであるとか、曲のサビの部分であるとかいった捉え方がしにくい。
ここで聴くのを止めてしまうと、KENSOは曲が複雑過ぎて良くわからないバンドということになってしまうかもしれない。
ところが聴き込んで行くと、実に良くギター、ツイン・キーボードのアンサンブルが考えられていることがわかってくる。さらにベースのうねるようなプレイ、ドラムスのテクニカルながら表情豊かなプレイも聴こえてくるようになる。
そして効果音を含めて、音色にもこだわっていることも見えてくる。二人のキーボード奏者が効果的にピアノ、シンセ、オルガンなどを弾き分け、そこにリーダー である清水のエレキギターやアコースティックギター(ブズーキ、ポルトガルギター)が切り込んでくるという、音色の絶妙なアンサンブル。
すると、せわしく細かに変化する変拍子の曲が、複雑で分かりづらい印象からじわじわと変わり出し、次第に心のひだを追って行くようにして、自分の中にしみ込んでくる音楽である事に気づいてくるのだ。
その音には、Gentle Giantのような複雑なアンサンブルの妙や、PFMのような大らかなメロディー、そして日本を感じさせるどこか懐かしい情景が潜んでいる。雄大なメロト ロンが鳴り響くわけではない。かなり複雑でテクニカルなアンサンブルに熱いロックを感じさせるギターが織りなす音楽なのに、出てきた音から大きな叙情が広がってくる。
そしてメンバー全員がまさに世界レベルの素晴らしいテクニックを持ちながら、それを自分たちが表現したい音を目指して駆使し、その結果出てきた音楽。そんな深い感動に包まれるのだ。
テクニカルな演奏&ロック魂&叙情。
安易さのかけらもない。
細部にまで丁寧に気を配った音。
しかしロックのパワーも渦巻いている音。
まさに様式的な「プログレッシヴ・ロック」の範疇を越えた、“プログレッシヴ”なロックとしか言い様のない音楽。
長めな曲になりがちな近年のプログレッシヴ・ロックバンドからは考えられない全11曲。5分前後の曲に、間奏曲のような短めな曲を挿む構成。しかし各曲の完成度の高さ、そして全体として聴いた時のアルバムのトータル性の高さも素晴らしいの一語に尽きる。ジャケットのアートワークも作品の一部として味わいたい。
すでに世界的にも高い評価を得ている日本の至宝。1991年の傑作。
もちろん傑作は本作だけではない。
ちなみにバンド名は、リーダーの清水が神奈川県立相模原高等学校に通っていた時に作ったハードロックバンド名に由来する。学校名を縮めた愛称が「県相」、そこから「喧騒」というバンド名にしたのだが、それがそのままKENSOとして残ったとのこと。
KENSO(ケンソー)
「夢の丘」は日本が世界に誇るプログレッシヴ・ロック・バンドKENSO(ケンソー)による1991年発表の6枚目のアルバム。前作「スパルタ」制作途中からベースとドラムスのリズム陣が交代し、新たな布陣で作り上げた渾身の一作。
清水義央:ギター
小口健一:キーボード
光田健一:キーボード
三枝俊治:ベース
村石雅行:ドラムス
オールインストゥルメンタルである。しかしフュージョンのように耳にすんなりと入ってこない。ジャズロックというほどジャズの色合いは感じられない。そこには緻密に計算された変拍子と、細かなリズムチェンジがあるからだ。これにより一聴した時に曲の全体像を掴みにくい。一つの明確なメインメロディーであるとか、曲のサビの部分であるとかいった捉え方がしにくい。
ここで聴くのを止めてしまうと、KENSOは曲が複雑過ぎて良くわからないバンドということになってしまうかもしれない。
ところが聴き込んで行くと、実に良くギター、ツイン・キーボードのアンサンブルが考えられていることがわかってくる。さらにベースのうねるようなプレイ、ドラムスのテクニカルながら表情豊かなプレイも聴こえてくるようになる。
そして効果音を含めて、音色にもこだわっていることも見えてくる。二人のキーボード奏者が効果的にピアノ、シンセ、オルガンなどを弾き分け、そこにリーダー である清水のエレキギターやアコースティックギター(ブズーキ、ポルトガルギター)が切り込んでくるという、音色の絶妙なアンサンブル。
すると、せわしく細かに変化する変拍子の曲が、複雑で分かりづらい印象からじわじわと変わり出し、次第に心のひだを追って行くようにして、自分の中にしみ込んでくる音楽である事に気づいてくるのだ。
その音には、Gentle Giantのような複雑なアンサンブルの妙や、PFMのような大らかなメロディー、そして日本を感じさせるどこか懐かしい情景が潜んでいる。雄大なメロト ロンが鳴り響くわけではない。かなり複雑でテクニカルなアンサンブルに熱いロックを感じさせるギターが織りなす音楽なのに、出てきた音から大きな叙情が広がってくる。
そしてメンバー全員がまさに世界レベルの素晴らしいテクニックを持ちながら、それを自分たちが表現したい音を目指して駆使し、その結果出てきた音楽。そんな深い感動に包まれるのだ。
テクニカルな演奏&ロック魂&叙情。
安易さのかけらもない。
細部にまで丁寧に気を配った音。
しかしロックのパワーも渦巻いている音。
まさに様式的な「プログレッシヴ・ロック」の範疇を越えた、“プログレッシヴ”なロックとしか言い様のない音楽。
長めな曲になりがちな近年のプログレッシヴ・ロックバンドからは考えられない全11曲。5分前後の曲に、間奏曲のような短めな曲を挿む構成。しかし各曲の完成度の高さ、そして全体として聴いた時のアルバムのトータル性の高さも素晴らしいの一語に尽きる。ジャケットのアートワークも作品の一部として味わいたい。
すでに世界的にも高い評価を得ている日本の至宝。1991年の傑作。
もちろん傑作は本作だけではない。
ちなみにバンド名は、リーダーの清水が神奈川県立相模原高等学校に通っていた時に作ったハードロックバンド名に由来する。学校名を縮めた愛称が「県相」、そこから「喧騒」というバンド名にしたのだが、それがそのままKENSOとして残ったとのこと。