Kansas(カンサス)
「Two for the Show」(邦題は「偉大なる聴衆へ」)は当時アメリカン・プログレ・ハードと呼ばれたバンドKansas(カンサス)の1978年発表のライヴアルバム。1977年から1978年にかけての3つのツアーから収録されたもので、選曲的にも全盛期のアルバムから選ばれたベストな選曲と言ってよい。
当時はLP2枚組で、1990年に初CD化。この時は収録収録時間の関係か「Closet Chronicles」がカットされたCD1枚ヴァージョン。
そして2008年に30周年レガシーエディションということでCD2枚組の完全版として発売された。前CDでカットされた「Closet Chronicles」も復活、さらにボーナストラックが10曲収録という豪華さ。
このレガシーエディション、あっと言う間に店頭からなくなった。やはり名盤なのは誰もが知っているし、完全版を待ち望んでいた人も多かったと言うことだろうな。
わたしはオリジナルのLPと1990年版CDしか持っていないので、ボーナストラックについては語ることができない。しかしオリジナルLPも、そして1999年ヴァージョンも文句なしに 素晴らしい。確かLP収録曲の中では「Closet Chronicles」の時のSteve Walsh(スティーヴ・ウォルシュ)のボーカルが、ちょっとかすれ気味で苦しそうな感じだったんじゃなかったかな。そういう意味では、1990年ヴァー ジョンも厳選されたライヴと言えなくもない。
Phil Ehart:ドラムス、パーカッション
Dave Hope:ベース
Kerry Livgren:ギター、キーボード
Robbie Steinhardt:ヴァイオリン、ボーカル
Steve Walsh:キーボード、ボーカル
Rich Williams:ギター
その演奏は完璧。意外と細かくロールを入れるドラムスにツインギター、ツインキーボード、そしてヴァイオリンが絡む多彩でドラマティックな展開。それでいてハードロック的なザクザクしたリズムとシャウトするヴォーカルがロック魂を感じさせる。
まずオリジナルアルバムよりも遥かに躍動感に富んだ演奏が素晴らしい。ライヴでも美しいボーカル・ハーモニーを聴かせ、アコースティック・ギター・ソロやピアノ・ソロも盛り込んだ、Yesを彷彿とさせる見事な構成。
みな非常にテクニシャンであるだけでなく、アンサンブルになった時の鉄壁さが群を抜いている。並みいる有名プログレッシヴ・ロックバンドに退けを取らない見事な演奏力。
さらに何より強調したいのは、このライヴでバンド・アンサンブルが一体となった時に、うねるのだ。スクエアなリズムではない。まるで生き物のようにタメたり走ったりする。このうねりが、聴く者の心を揺さぶるのだ。「Lamplight Symphony」から「The Wall」へとつながるところなど、鳥肌が立つくらいである。
予断だが、このアルバムはある少年に捧げられている。1978年の8月、Kansasのコンサートを観た帰りに事故に遭い失明してしまった少年に。彼にとってKansasのライヴが最後に目にした思い出の体験になってしまったのだ。
アルバム自体とは実質関係ないそんな話を、当時反抗期だった自分が“話題作り的あざとさ”を感じずに受け入れることができたのは、やはりここに収録されて いるライヴの圧倒的な迫力と真摯な演奏ゆえだろう。不謹慎かもしれないが、こんなスゴいコンサートを最後の光景として記憶に残した少年というのが、どこと なく神秘的な感じにすら思えたものだ。
Genesis(ジェネシス)の「Seconds Out(幻惑のスーパーライヴ)」並の最高級ライヴ。熱くなれます。カンサス全アルバム中でも最高ランクの傑作。
ちなみにジャケットは、アメリカのの画家・イラストレーターであるNorman Rockwell(ノーマン・ロックウェル)の「Charwomen(ちょっと休憩)」(1946年)の“実写版”といった趣き(右下図)。charwomanとはビルなどの掃除婦のこと。
タイトル「Two for the Show」は「Two for the Tea(二人でお茶を)」を思い起こさせ、「二人でショーを」といった感じか。二人とはこの掃除婦かな。もちろん2枚組LPを指して「ショーを収めた2枚組」っていう意味もかけているダブル・ミーニングでしょうけれど。
当時はLP2枚組で、1990年に初CD化。この時は収録収録時間の関係か「Closet Chronicles」がカットされたCD1枚ヴァージョン。
そして2008年に30周年レガシーエディションということでCD2枚組の完全版として発売された。前CDでカットされた「Closet Chronicles」も復活、さらにボーナストラックが10曲収録という豪華さ。
このレガシーエディション、あっと言う間に店頭からなくなった。やはり名盤なのは誰もが知っているし、完全版を待ち望んでいた人も多かったと言うことだろうな。
わたしはオリジナルのLPと1990年版CDしか持っていないので、ボーナストラックについては語ることができない。しかしオリジナルLPも、そして1999年ヴァージョンも文句なしに 素晴らしい。確かLP収録曲の中では「Closet Chronicles」の時のSteve Walsh(スティーヴ・ウォルシュ)のボーカルが、ちょっとかすれ気味で苦しそうな感じだったんじゃなかったかな。そういう意味では、1990年ヴァー ジョンも厳選されたライヴと言えなくもない。
Phil Ehart:ドラムス、パーカッション
Dave Hope:ベース
Kerry Livgren:ギター、キーボード
Robbie Steinhardt:ヴァイオリン、ボーカル
Steve Walsh:キーボード、ボーカル
Rich Williams:ギター
その演奏は完璧。意外と細かくロールを入れるドラムスにツインギター、ツインキーボード、そしてヴァイオリンが絡む多彩でドラマティックな展開。それでいてハードロック的なザクザクしたリズムとシャウトするヴォーカルがロック魂を感じさせる。
まずオリジナルアルバムよりも遥かに躍動感に富んだ演奏が素晴らしい。ライヴでも美しいボーカル・ハーモニーを聴かせ、アコースティック・ギター・ソロやピアノ・ソロも盛り込んだ、Yesを彷彿とさせる見事な構成。
みな非常にテクニシャンであるだけでなく、アンサンブルになった時の鉄壁さが群を抜いている。並みいる有名プログレッシヴ・ロックバンドに退けを取らない見事な演奏力。
さらに何より強調したいのは、このライヴでバンド・アンサンブルが一体となった時に、うねるのだ。スクエアなリズムではない。まるで生き物のようにタメたり走ったりする。このうねりが、聴く者の心を揺さぶるのだ。「Lamplight Symphony」から「The Wall」へとつながるところなど、鳥肌が立つくらいである。
予断だが、このアルバムはある少年に捧げられている。1978年の8月、Kansasのコンサートを観た帰りに事故に遭い失明してしまった少年に。彼にとってKansasのライヴが最後に目にした思い出の体験になってしまったのだ。
アルバム自体とは実質関係ないそんな話を、当時反抗期だった自分が“話題作り的あざとさ”を感じずに受け入れることができたのは、やはりここに収録されて いるライヴの圧倒的な迫力と真摯な演奏ゆえだろう。不謹慎かもしれないが、こんなスゴいコンサートを最後の光景として記憶に残した少年というのが、どこと なく神秘的な感じにすら思えたものだ。
Genesis(ジェネシス)の「Seconds Out(幻惑のスーパーライヴ)」並の最高級ライヴ。熱くなれます。カンサス全アルバム中でも最高ランクの傑作。
タイトル「Two for the Show」は「Two for the Tea(二人でお茶を)」を思い起こさせ、「二人でショーを」といった感じか。二人とはこの掃除婦かな。もちろん2枚組LPを指して「ショーを収めた2枚組」っていう意味もかけているダブル・ミーニングでしょうけれど。