Rick Wakeman(リック・ウェイクマン)
「The Six Wives of Henry VIII」(邦題は「ヘンリー8世の6人の妻」)は、当時Yesのキーボード奏者だったRick Wakeman(リック・ウェイクマン)が1973年に発表したファースト・ソロアルバムである。ゲストとして元在籍していたStrawbs(ストローブス)やYesのメンバーが顔を揃え、バックをガッチリサポートした上で、Rickが様々なキーボード を縦横無尽に使ってクラシカルにして英国的な世界を描き出している。いわゆるバンド的な演奏だ。
Yesのバンド活動との関係で言えば「Close To The Edge」(1972年)と「Tales From Topographic Oceans(海洋地形学の物語)」(1973年)の間に作られた作品となる。
1972年のYesへの加入以後、、「Fragile(こわれもの)」(1972年)、「Close To The Edge(危機)」(1972年)という傑作アルバムへの多大な貢献度とステージでの派手なパフォーマンスから俄然注目を浴び、Yesとともに日の出の勢いであっ た時期の作品だ。
ヘンリー8世は16世紀前半の英国王。英国国教会を設立しローマ教会から独立したことでも有名。アルバムはこのヘンリー8世の8人の妻をタイトルとした、インストゥルメンタル中心の曲が8曲並ぶ。
「このアルバムはヘンリー8世の妻たちの、音楽的な性格を自分なりに解釈したものを基本としている。しかしながらそのスタイルは必ずしも個々の歴史に沿ったものではないかもしれない。これはキーボード楽器との関係で彼らの性格について私が個人的に考えたものなのだ。」
(アルバム・ジャケット内のコメントより)
音楽は気負ったところがなくストレートにRickのクラシカルな部分とヨーロッパ(特にイギリス)の歴史を感じさせる優雅で多彩な音色のキーボードを主体としたもので、ロマンティックさとドラマティクさが魅力。
テクニックでグイグイ押していくようなアルバムではなく、あくまで優雅に全体のアンサンブルの中で安定したキーボードプレイを聴かせていく。
当時はEL&PのKeith Emerson(キース・エマーソン)とどちらの方がテクニックが上かなどと比較されたりもした。
しかしこうして改めてRick Wakemanのソロを聴いてみると、もともとセッション・プレーヤーから出発したためか、強い自己主張とか新しいものを作り出していくような強烈な個性よりも、クラシックを基本にした確かなテクニックを元に、聴き易く心に残るメロディーや、ポルタメントを活かした厚みのあるムーグの音など、様々なキーボードの音色の絶妙な組み合わせが彼の本領かと思う。
その独特な装飾音の多い華麗な弾き方や、古風で優雅なメロディーの美しさ、時折挿まれるコミカルな雰囲気や、クラシックそのままのフレーズの挿入など、聴く者を飽きさせない。そういう点では非常によく構成された魅力的な曲が詰まった作品である。
そして、後のPatrick Morazのような自己主張の強さがない分、Yesの中で外見的に目立っていた(ライヴでは銀ラメのマントを羽織っていた)割りに、自己主張の強いメン バー全体をまとめる役として重要だったのかという気がする。あくまで弾くべきところでは華麗なソロを披露するが、その他の部分では出しゃばらずにきっちり 全体をサポートし、クラシカルな味付けをしつつ曲の厚みや曲の雄大さを広げていくという役割。
安心して聴くことが出来、余裕のある華麗な指さばきを堪能できる一枚。曲や構成のバランス感覚の良さがないと作れない、彼ならではの傑作。
テクニックでグイグイ押していくようなアルバムではなく、あくまで優雅に全体のアンサンブルの中で安定したキーボードプレイを聴かせていく。
当時はEL&PのKeith Emerson(キース・エマーソン)とどちらの方がテクニックが上かなどと比較されたりもした。
しかしこうして改めてRick Wakemanのソロを聴いてみると、もともとセッション・プレーヤーから出発したためか、強い自己主張とか新しいものを作り出していくような強烈な個性よりも、クラシックを基本にした確かなテクニックを元に、聴き易く心に残るメロディーや、ポルタメントを活かした厚みのあるムーグの音など、様々なキーボードの音色の絶妙な組み合わせが彼の本領かと思う。
その独特な装飾音の多い華麗な弾き方や、古風で優雅なメロディーの美しさ、時折挿まれるコミカルな雰囲気や、クラシックそのままのフレーズの挿入など、聴く者を飽きさせない。そういう点では非常によく構成された魅力的な曲が詰まった作品である。
そして、後のPatrick Morazのような自己主張の強さがない分、Yesの中で外見的に目立っていた(ライヴでは銀ラメのマントを羽織っていた)割りに、自己主張の強いメン バー全体をまとめる役として重要だったのかという気がする。あくまで弾くべきところでは華麗なソロを披露するが、その他の部分では出しゃばらずにきっちり 全体をサポートし、クラシカルな味付けをしつつ曲の厚みや曲の雄大さを広げていくという役割。
安心して聴くことが出来、余裕のある華麗な指さばきを堪能できる一枚。曲や構成のバランス感覚の良さがないと作れない、彼ならではの傑作。