I Can See Your House From Here(1979年)
Camel(キャメル)
英国を代表する叙情派プログレッシブロックグループCamel。代表作と言えば「Mirage」(1974)、「Snow Goose」(1975)、「Moonmadness」(1976)あたりを挙げる人がことが多いだろう。
確かにアルバム全体として見た場合には今回取り上げる「I Can See Your House From Here」(邦題は「リモート・ロマンス」)(1979)は、初期のキャメルらしさには欠ける。ギターのAndrew LatimerとキーボードのPeter Bardensが対等にプレイし、ハモったりユニゾンしたりと抜群のコンビネーションを見せていた初期の作品群とは違う。ここにはすでにPeter Bardensもいないし。
でもアルバムとしての完成度は、初期の作品のイメージとは異なるとしても、とても高い。冒頭の曲「Wait」で聴ける、新たな二人のキーボードプレーヤーKit Watkins(キット・ワトキンス)とJan Schelhaas(ヤン・シェルハース)のソロの応酬などは、ピーター・バーデンス時代にはなかったテクニカルなスリルを味わわせてくれる。ポップさは強まったが、曲はどれも魅力的だ。
Andrew Latimer:ギター、ボーカル、フルート
Andy Ward:ドラムス
Jan Schelhaas:キーボード
Kit Watkins:キーボード、フルート
Colin Bass:ベース、ボーカル
そして何よりもこのアルバムにはが最後を締めくくる名曲「ICE」入っているのだ。叙情インストゥルメンタルの極致。
曲は静かにピアノと柔らかいトーンのエレクトリックギターで幕を開ける。物悲しいギターのメロディーは「Snow Goose」を思い出させる。でもその裏でピアノもきれいに歌っている。そしてドラムとベースが入ってLatimerのギターが感情豊かに歌いだす。
かと思いきや、実はここがこの曲のキモなのだが、まずKit Watkinsのキーボードソロが入るのだ。このソロが凄い。しっかりしたテクニックに裏付けされながらも、弾き倒すのではなく歌う歌う。音の一つ一つが心にしみ込んでくる。こんなに情緒豊かなシンセソロは聴いたことがない。
そして後半、ついにLatimerが情感豊かにギターソロを弾きまくる。Kit Watkinsの感情を抑えたソロがあったからこそ、Latimerの泣きのギターが生きる。これでもかってくらいに盛り上げていく。
ギターソロはそのまま星降る天空へ消えていくかのようにフェイドアウトし、再び甘いトーンのエレクトリックギターとアコースティックギターが静かに穏やかに曲を、そしてアルバム全体を締めくくる。
Andrew Latimerは後のインタビューで次のように言っている。
「こ の曲は非常に切羽詰まった感じのする曲だし、非常に冷たくて、悲しいという感情が溢れている。当時、バンドのメンバーがばらばらの方向に散らばって壊れて しまうような状況だったから、私は残念で悲しい心境だった。私自身は再び楽しくて、豊富なアイデアを持ったバンドに戻そうとしていたから、この曲には当時 の私の叫びや熱望が反映していると思うよ。これは私の心を現した曲なのさ。」
Camel(キャメル)
英国を代表する叙情派プログレッシブロックグループCamel。代表作と言えば「Mirage」(1974)、「Snow Goose」(1975)、「Moonmadness」(1976)あたりを挙げる人がことが多いだろう。
確かにアルバム全体として見た場合には今回取り上げる「I Can See Your House From Here」(邦題は「リモート・ロマンス」)(1979)は、初期のキャメルらしさには欠ける。ギターのAndrew LatimerとキーボードのPeter Bardensが対等にプレイし、ハモったりユニゾンしたりと抜群のコンビネーションを見せていた初期の作品群とは違う。ここにはすでにPeter Bardensもいないし。
でもアルバムとしての完成度は、初期の作品のイメージとは異なるとしても、とても高い。冒頭の曲「Wait」で聴ける、新たな二人のキーボードプレーヤーKit Watkins(キット・ワトキンス)とJan Schelhaas(ヤン・シェルハース)のソロの応酬などは、ピーター・バーデンス時代にはなかったテクニカルなスリルを味わわせてくれる。ポップさは強まったが、曲はどれも魅力的だ。
Andrew Latimer:ギター、ボーカル、フルート
Andy Ward:ドラムス
Jan Schelhaas:キーボード
Kit Watkins:キーボード、フルート
Colin Bass:ベース、ボーカル
そして何よりもこのアルバムにはが最後を締めくくる名曲「ICE」入っているのだ。叙情インストゥルメンタルの極致。
曲は静かにピアノと柔らかいトーンのエレクトリックギターで幕を開ける。物悲しいギターのメロディーは「Snow Goose」を思い出させる。でもその裏でピアノもきれいに歌っている。そしてドラムとベースが入ってLatimerのギターが感情豊かに歌いだす。
かと思いきや、実はここがこの曲のキモなのだが、まずKit Watkinsのキーボードソロが入るのだ。このソロが凄い。しっかりしたテクニックに裏付けされながらも、弾き倒すのではなく歌う歌う。音の一つ一つが心にしみ込んでくる。こんなに情緒豊かなシンセソロは聴いたことがない。
そして後半、ついにLatimerが情感豊かにギターソロを弾きまくる。Kit Watkinsの感情を抑えたソロがあったからこそ、Latimerの泣きのギターが生きる。これでもかってくらいに盛り上げていく。
ギターソロはそのまま星降る天空へ消えていくかのようにフェイドアウトし、再び甘いトーンのエレクトリックギターとアコースティックギターが静かに穏やかに曲を、そしてアルバム全体を締めくくる。
Andrew Latimerは後のインタビューで次のように言っている。
「こ の曲は非常に切羽詰まった感じのする曲だし、非常に冷たくて、悲しいという感情が溢れている。当時、バンドのメンバーがばらばらの方向に散らばって壊れて しまうような状況だったから、私は残念で悲しい心境だった。私自身は再び楽しくて、豊富なアイデアを持ったバンドに戻そうとしていたから、この曲には当時 の私の叫びや熱望が反映していると思うよ。これは私の心を現した曲なのさ。」
(「Arch Angel vol.3」ディスクユニオン、1996年)
至福の10分18秒。奇跡の一曲。