2009年6月19日金曜日

「炎 〜あなたがここにいてほしい〜」

Wish You Were Here (1975年)

Pink Floyd(ピンク・フロイド)


Pink Floyd(ピンク・フロイド)1975年発表の作品である。邦題は「炎 〜あなたがここにいてほしい〜」。前作の「The Dark Side of the Moon」(邦題は「狂気」)の大成功から2年、試行錯誤の末生み出されたこのアルバムは、「The Dark Side of the Moon」の、計算し尽くされた息苦しくなる程のスキのなさとは対照的に、David Gilmourのブルージーなギターが中心となり、ラフな雰囲気が持ち込まれ、効き易い印象を与える作品となった。

しかしそのラフな印象とともに、全体にメランコリックな暗鬱さが立ちこめており、「The Dark Side of the Moon」の冷めた音に比べ、とても情感のこもったアルバムとなっているのが特徴となっている。

 
Roger Waters:ベース、ボーカル
 David Gilmour:ギター、ボーカル
 
Nick Mason:ドラムス
 
Richard Wright:キーボード、シンセサイザー

その要因はこの「Shine On You Crazy Diamond」で狂ったダイアモンドと呼びかけられるかつてのオリジナルメンバーだったSyd Barrett(シド・バレット)への、メンバーの個人的な想いが詰まっているからだ。Sydは才能豊かなバンドの最初のリーダーでありながら、精神的にダメージを負いバンドを去らねばならなくなったと言われている。

それを何よりまず感じさせるのが「
Shine On You Crazy Diamond part 1」冒頭のGilmour7分を超えるギターソロ。ゆったりしたFloyd独特の音空間をバックに、Gilmourのギターソロが悲しみをさらけ出すように歌う。これがいいんだ!そして静かにボーカルパートが入ってくる。歌は「輝くんだ、狂ったダイアモンド!」と悲痛な呼びかけを繰り返し、ギターソロを受け継いだようなサックスソロで曲のpart 1は終わる。

ドラマチックな「
Shine On You Crazy Diamond part 1」とは対照的に、「Wish You Were Here」ではラジオから流れてきた音に自然とギターを重ねてみたというような情景から、曲が始まる。シンプルで素朴な感じの曲だ。しかしここからもSydへの切々とした想いが伝わってくる。

おぼろげな記憶によると、
Pink Flyodが初めてシンセサイザーをメロディー楽器として導入したアルバムと言われていたように思う。味わい深いRickのオルガンが減ったのは残念だが、アルバムの最初と最後を飾る「Shine On You Crazy Diamond part 1」「同 part 2」で、奥行きのある深い音でメロディーを奏でているのが印象的だ。ギターの熱いプレイとは逆に、半ばあきらめの気持ちが混ざったような、悲しみをたたえたプレイだ。

これほど感情がストレートにアルバム全体を支配している作品は他にはない。客観的な立場から一歩入り込んで、唯一自分たちの心情を込めることができた作品。「
The Dark Side of the Moon」とは違った完成度を誇る傑作愛聴盤。

なお
ProgLyrics(プログリリックス)にて「Shine On You Crazy Diamondpart 1&2の訳詞を載せています。よろしければご覧下さい。


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