2009年6月9日火曜日

「歓喜の時」

IL TEMPO DELLA GIOIA (1974年)

Quella Vecchia Locanda
(クエラ・ヴェッキア・ロカンダ)



IL TEMPO DELLA GIOIA」(邦題は「歓喜の時」)は、“朽ち果てた家”という意味の名前を持つイタリアのバンド、Quella Vecchia Locanda(クエラ・ヴェッキア・ロカンダ)が1974年に発表した、セカンドにして最終アルバムである。

イ タリアンロックの持つ魅力の一つ、クラシックとロックが織りなす美しさの一つの頂点と言える作品。主役は生のヴァイオリンと情熱的なボーカル。さらにそこ にフルート、チェンバロ、ストリングスなどが加わり、クラシカル色が高まる。しかしクラシカルな美しさだけで終わらないところが、このアルバムのまた凄い ところだ。

 Massimo Roselli:キーボード、ボーカル
 Giorgio Giorgi:フルーロ、ピッコロ、ボーカル
 Patrik Triaina:ドラムス、ボーカル
 Massimo Girogi:ベース、コントラバス、ボーカル
 Raimondo Cocco:ギター、クラリネット、ボーカル
 Caludio Gilice:ヴァイオリン
<ゲスト>
 Rdodolfo Bianchi:サックスフォーン

1 曲目の「Villa Doria Pamphili」は、静かなピアノのソロから始まり、そこにアコールティック・ギターとヴァイオリンが絡む。リズムが意識され曲が流れ出す。そしてボー カルが優しく歌い出す。美しい導入部。やがてボーカルに熱が帯びてくると、ドラムスが入りドラマティックにヴァイオリンとピアノがユニゾンでメロディーを 歌い上げる。

2曲目はチェンバロと弦楽器に乗ってフルートが歌う。そこに荘厳なボーカルがコーラスで重なる。ほとんどクラシックの趣である。戦慄が甘く美しい。ヴァイオリンがエレクトリックではなくアコースティックなのがよい。ピアノやギターのクラシカルな響きに良く合っている。

3 曲目はボーカルが哀愁たっぷりなメロディーを歌い上げる。そのままクラシカルに行くのかと思うと、途中からドラムのリズムが早くなり、ロック色が濃くな る。細やかなドラミング、時折入るクラシカルなピアノやエレキギター。コントラバスソロも入って異様な盛り上がり方をしていく。インストゥルメンタルパー トのクラシックとロックの混ざり具合も絶妙。再びボーカルがメロディーを歌う最後はほとんどハードロック。

4曲目もピアノからヴァイオリンソロのフリーな演奏で幕を開ける。しかしリズム隊が入るとヴァイオリンを主体としたジャズロック風。アナーキーなボーカルハーモニーも入って盛り上がったところで、再びヴァイオリンソロ。クラシカルで壮絶なソロ。このヴァイオリンは甘さより鋭さが目立つ音。ロックっぽい展開に合う。主旋律はクラリネッ ト、ヴァイオリン、ボーカル、そしてサックスフォーンと目まぐるしく変わるが、その動と静との落差が激しいので思わず魅き込まれていく。

5 曲目はメンバーのコーラスではなく、混声合唱で始まる重厚なオープニング。エレキギター、ヴァイオリンが入り、曲は暗くヘヴィーに進む。女性スキャットも美しいが妖しい。演奏もクラシカルな楽器を使いながらも、力強さと不気味さを増していく。そしてついにノイズの嵐となってアルバムは終わる。

ロックバンドにヴァイオリンを入れて、ちょっとクラシカルな雰囲気を出してみましたといったものとは根本的な姿勢が違う。あくまで主役はヴァイオリン、ピア ノ、クラリネットなどのクラシック楽器だが、ボーカルが間を埋めるかたちで、ロック、ジャズ、さらにはアバンギャルドな展開へと広がる、かと思うと正調ク ラシカルミュージックにいきなり戻るという、気を抜けない面白さ。

PFMほどきれいに融合、洗練されていない分、逆に荒々しさと美しさの振幅の激しさが魅力だ。生楽器にこだわった演奏と、熱くなるが暑苦しくないボーカルもいい。傑作。


2 件のコメント:

  1. 私をイタリアンロックに導いた最初のアルバムです
    PFMに編成が似てますがより未整理で情熱的な雰囲気がありますよね

    彼らがこの作品を最後にロック業界を引退してしまったのが本当に惜しい

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    1. コメントありがとうございます。
      本当にその荒削りな感じが良いですよね。まとまり過ぎな感のある今のバンドには無い魅力を感じます。

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