2009年6月17日水曜日

「リレイヤー」

Relayer (1974年)

Yes(イエス)


プログレッシヴ・ロックを代表するイギリスのバンド、Yes(イエス)の8枚目のアルバムが「Relayer」(邦題は「リレイヤー」)である。個人的には「Close to the Edge」(邦題は「危機」)の次に買ったアルバムでとして印象深い。

間に「
Yessongs」(邦題は「イエスソングス」)というライブ、「Tales From Topographic Oceans」(邦題は「海洋地形学の物語」という2枚組アルバムがあるのだが、前者は3枚組、後者は2枚組と、当時はおいそれと手が出なかった。

そして登場したのが「
Relayer」(1974)であった。名作「Close to the Edge」と同じ、大曲1、小曲2という構成、Rick Wakeman(リック・ウェイクマン)に替わって加入したPatric Moraz(パトリック・モラーツ)というスイス人キーボード奏者、「Tales From Topographic Oceans」という20分近くの曲4曲で作られたアルバムの次の作品と、どんな音になっているのか興味をとてもかき立てられたアルバムだった。


 
Jon Anderson:リードボーカル
 
Chris Squire:ベース、ボーカル
 
Steve Howe:ギター、ボーカル
 
Alan White:ドラムス
 
Patric Moraz:キーボード

Yes
のこの頃のアルバムは、冒頭でのリスナーの引き込
み方が巧みだ。この「Relayer」も最初の「The Gate of Delirium」(邦題は「錯乱の扉」)の冒頭は、「Close to the Edge」を思わせるキラキラしたキーボードをバックにややゆったりしたリズムで曲が始まる。流れるようなギターの後ろで、様々なキーボードの音が重なりあっている。いきなり異次元空間を漂っているような感覚になる。

そしてフォークタッチで始まるボーカル。展開が早い。ギターの音も今までになく鋭い。キーボードの音が
Rickwakemanより前に出てくる。それもハモンドオルガンではなく巧みにピッチベンドコントロールされたシンセサイザーだ。キーボードの音色が変わったことで、ロマンティックさが消え、シリアスな感じになった曲調と厚み
のあるアンサンブル。今までにない複雑で切り返しの多い構成。「Close to the Edge」のような緊張感、「Roundabout」のようなノリの良さよりも、重戦車のようにグイグイ突き進んでいくような迫力がある。Alanのドラムプレイが活きる曲調なため、ドラムがタイトで、唸るベースとのコンビネーションも抜群だ。

2/3
までは息つく間もない畳み掛けるような演奏が続く。そして最後にJon Andersonの美声を活かした静かなパートで曲は終わる。とにかく様々な要素が詰め込まれた複雑な構成の曲。それを一気に聴かせてしまうYesらしさ。これまでにはないドラマ性の高い名曲。

「これは戦争の曲で戦闘シーンなんだけど、戦争を糾弾するようなものじゃない。感情を表したもので、最後の
“Do we have to go through this forever?”
(僕たちは永遠に戦争し続けなければならないのか)という感情を歌っている。前奏曲があって、突撃、勝利の曲と続き、未来への希望を込めた平和で終わるんだ。」Jonは語っている
(「イエス・ストーリー」シンコーミュージック、1998年)。

2曲目は超複雑アンサンブルにキャッチーなボーカルがからむYesの一面を極限まで突き詰め新しい次元にまで行ってしまった曲。ケチャまで飛び出す、ある意味むちゃくちゃな展開。それでもテクニック披露大会にならないのがYesの魅力だ。Patric Morazのジャズ風シンセソロが新鮮。

最後の曲はJonのボーカルが活かされた平和なイメージの曲。Jonを中心とした壮大なボーカルハーモニー、Steve Howeのスチールギター、再びPatric Morazの柔らかなシンセソロと、この曲も2曲目とは違った意味で今までにない、ロック色の薄い不思議な世界が広がる曲だ。

Yesが到達した究極の一枚。傑作中の傑作。



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