Theatre du Taur - Toulouse 1975(1995年)
MAGMA(マグマ)
音楽を聴いていて、この音楽の世界に入り込んだらマズいんじゃないか、自分の精神がどうにかなってしまうのではとか、心の中の開けてはいけない扉を開いてしまうんじゃないかというような、一種の恐怖を感じた経験が3度ある。
1 度目はKing Crimsonの「The Court of the Crimson King」(1969)を聞いた時。2度目は今回取り上げるフランスのバンドMAGMAの「LIVE」(1975)を聴いた時、そして3度目は人間椅子の「人間椅子」(1990)を聴いた時だ。
中でもこのMAGMA「LIVE(ライヴ!)」の異様さは特別だった。あきらかに通常 のロックバンドのライブと雰囲気が違う。当時高校生だったわたしの最初の印象は、異端宗教か何かの秘密の集会で、呪術的な音楽に次第に高揚した信者たちが 最後に興奮状態になるというドキュメントかと思ったほどだ。
ところが、その世界に慣れてくると、通常のロックの形態からは外れているだけ であって、譜面におこされているのではないかと思う程非常に複雑に構築された曲を、並外れたテクニックを持つメンバーが、十分な時間をかけて練り上げて生み出した、他のどの音楽にも似ていない圧倒的なパワーを持つ音楽であることがわかる。
そこで「LIVE」を推薦するのかと思いきや、実はその3ヶ月後に南仏トゥールーズで行われた公演を収録した2枚組CD「Theatre du Taur - Toulouse 1975」(1995)を推したい。演奏に甲乙付けがたいのは承知の上。「LIVE」が24トラックに対し「THEATRE DU TAUR」は2トラックでの録音という音質的ハンディもある。ではなぜ?
実は「THEATRE DU TAUR」には「LIVE」では曲の前半が省略されていた『Mekanik Destruktiw Commandoh』が全曲収録されているのだ。主要メンバーは「LIVE」と同様、終始ハイテンションのヴァイオリンのLockwood、バキバキするベースのPaganotti、気合い入りまくりのドラムのVander、そして男女ボーカル。すべてが渾然一体となって、最初の重たいリフから始まり、38分15秒を息つく間もなく疾走しながら、次第に高みへと上り詰めていく緊張感と最後のカタルシスは、別の意味で宗教的ですらある。
Klaus Blasquisz:ボーカル
Stella Vander:ボーカル
Didier Lockwood:ヴァイオリン
Gabriel Federow:ギター
Benoit Widemann:キーボード
Tatrick Gauthier:キーボード
Bernard Paganotti:ベース
Christian Vander:ドラムス
これほどまでの複雑で長尺な楽曲を、圧倒的パワーと、一糸乱れぬ一体感でうねるように高みへと向っていく演奏に至るまでには、おそらく多くの試行錯誤と気の遠くなるような練習が積み重ねられたに違いない。
ちなみに『Mekanik Destruktiw Commandoh』後半の超高速7拍子部分で、一瞬Vanderのドラムが止まる。リズムに乗りきれなかったのだ。ところがその次の瞬間、鬼気迫る勢いでこの7拍子リズムになだれ込んでくる。リズムの主導権はオレが取り返した〜って感じで。聞き所の一つである。
MAGMA(マグマ)
音楽を聴いていて、この音楽の世界に入り込んだらマズいんじゃないか、自分の精神がどうにかなってしまうのではとか、心の中の開けてはいけない扉を開いてしまうんじゃないかというような、一種の恐怖を感じた経験が3度ある。
1 度目はKing Crimsonの「The Court of the Crimson King」(1969)を聞いた時。2度目は今回取り上げるフランスのバンドMAGMAの「LIVE」(1975)を聴いた時、そして3度目は人間椅子の「人間椅子」(1990)を聴いた時だ。
中でもこのMAGMA「LIVE(ライヴ!)」の異様さは特別だった。あきらかに通常 のロックバンドのライブと雰囲気が違う。当時高校生だったわたしの最初の印象は、異端宗教か何かの秘密の集会で、呪術的な音楽に次第に高揚した信者たちが 最後に興奮状態になるというドキュメントかと思ったほどだ。
ところが、その世界に慣れてくると、通常のロックの形態からは外れているだけ であって、譜面におこされているのではないかと思う程非常に複雑に構築された曲を、並外れたテクニックを持つメンバーが、十分な時間をかけて練り上げて生み出した、他のどの音楽にも似ていない圧倒的なパワーを持つ音楽であることがわかる。
そこで「LIVE」を推薦するのかと思いきや、実はその3ヶ月後に南仏トゥールーズで行われた公演を収録した2枚組CD「Theatre du Taur - Toulouse 1975」(1995)を推したい。演奏に甲乙付けがたいのは承知の上。「LIVE」が24トラックに対し「THEATRE DU TAUR」は2トラックでの録音という音質的ハンディもある。ではなぜ?
実は「THEATRE DU TAUR」には「LIVE」では曲の前半が省略されていた『Mekanik Destruktiw Commandoh』が全曲収録されているのだ。主要メンバーは「LIVE」と同様、終始ハイテンションのヴァイオリンのLockwood、バキバキするベースのPaganotti、気合い入りまくりのドラムのVander、そして男女ボーカル。すべてが渾然一体となって、最初の重たいリフから始まり、38分15秒を息つく間もなく疾走しながら、次第に高みへと上り詰めていく緊張感と最後のカタルシスは、別の意味で宗教的ですらある。
Klaus Blasquisz:ボーカル
Stella Vander:ボーカル
Didier Lockwood:ヴァイオリン
Gabriel Federow:ギター
Benoit Widemann:キーボード
Tatrick Gauthier:キーボード
Bernard Paganotti:ベース
Christian Vander:ドラムス
これほどまでの複雑で長尺な楽曲を、圧倒的パワーと、一糸乱れぬ一体感でうねるように高みへと向っていく演奏に至るまでには、おそらく多くの試行錯誤と気の遠くなるような練習が積み重ねられたに違いない。
ちなみに『Mekanik Destruktiw Commandoh』後半の超高速7拍子部分で、一瞬Vanderのドラムが止まる。リズムに乗りきれなかったのだ。ところがその次の瞬間、鬼気迫る勢いでこの7拍子リズムになだれ込んでくる。リズムの主導権はオレが取り返した〜って感じで。聞き所の一つである。