Photos Of Gohsts (1973年)
PFM(Premiata Forneria Marconi)
(ピー・エフ・エム:
プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ)
「Photos Of Gohsts」(邦題は「幻の映像」)は、イタリアン・ロックの開拓者PFM(Premiata Forneria Marconi)が1973年に発表したワールドマーケット・デビューアルバムである。
と言っても英米市場を意識して作ったということではなく、イタリア語での国内版の2ndアルバム「Per Un Amico(友よ)」全曲に、1stアルバムから1曲「Cerebration (E' Festa)」、新曲1曲「Old Rain」という構成。 英詞は初期King Crimsonの歌詞を担当していたPete Shinfield(ピート・シンフィールド)によるもの。
当時はKing Crimsonを脱退し、EL&Pのイタリア公演に随行した際にPFMを“発見”し、EL&Pのマンティコア・レーベルからデビューさせたという。ちなみに5曲目のみイタリア語で歌われている。
Flavio Premoli:キーボード、ボーカル
Franz Di Cioccio:ドラムス、ボーカル
Girorgio Piazza:ベース
Fanco Mussida:ギター、ボーカル
Mauro Pagani:ヴァイオリン、ウッドウインド(木管楽器)
英詞の効果もあって、繊細さのあるオリジナル2ndよりダイナミックでドラマティック。世界進出用の企画物ではなく、きちんと作品として完成している。オリジナルと共に、どちらも傑作。 とにかく個人個人の持つ圧倒的な演奏力、5人のアンサンブルの迫力、そしてスリリングなロックの激しさと、つぶやくような静かな曲における静けさ・美しさとの差の激しさ。一部のスキもなし。
アルバム冒頭の「River Of Life(人生は川のようなもの)に凝縮される魅力。静かに始まるギターソロ。そしてフルートとのデュエット。バロック調のクラシカルで端正な美しさに聞き惚れていると、重いリズムが一気に雰囲気を覆す。切り込むヴァイオリン。さらに場面が一転し、フォークソングのような柔らかなボーカル。めまぐるしく展開するが、すべての水準が高く、どんどん魅き込まれる。
そして現れるメロトロン、ムーグ、フルートによる雄大なメロディ。クラシカルな伝統がロックのダイナミズムと見事に融合している。 スペインのグループがフラメンコ的要素を血肉として自然に持ち合わせているのと同様に、イタリア人の彼らも、古典的クラシックの要素を血肉として持ち合わせているといった感じがする。
出てくる音にためらいがないと言うか、ウソがないと言うか。クラシックの素養のあるギター、キーボード、ヴァイオリンに3人の、自然に醸し出されるクラシカルさと、クラシックに囚われないセンスの良さが光る。
日本でのデビューもこの「幻の映像」によるものだった。イギリスから出て来たバンドとは明らかに異なった雰囲気に驚いた記憶がある。ライヴアルバム 「Cook」(イタリア本国では「Live In USA」)で、基本的なテクニックだけでなく、インプロヴィゼーションの凄さも見せてくれた。
後にボーカルを強化しそれぞれが演奏に専念するために専任ボーカリストを入れるが、初期の少し頼りない感じのボーカルの持つデリケートな感覚は失われる。さらにその後専任ボーカリストが抜け、ドラムスのFranz Di Cioccioがボーカルをとるようになる。2002年の来日公演でもドラムを代役に任せて、フロントに出て歌いまくる場面があった。まるで GenesisのPhil Collinsみたいだ。
バンド名は「賞を受けたベーカリー」の意味で、
「フランツ・ディ・チッチョのインタヴューによると、パンをこねる作業と自らの音楽創造の姿を重ねたものだという。」
PFM(Premiata Forneria Marconi)
(ピー・エフ・エム:
プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ)
「Photos Of Gohsts」(邦題は「幻の映像」)は、イタリアン・ロックの開拓者PFM(Premiata Forneria Marconi)が1973年に発表したワールドマーケット・デビューアルバムである。
と言っても英米市場を意識して作ったということではなく、イタリア語での国内版の2ndアルバム「Per Un Amico(友よ)」全曲に、1stアルバムから1曲「Cerebration (E' Festa)」、新曲1曲「Old Rain」という構成。 英詞は初期King Crimsonの歌詞を担当していたPete Shinfield(ピート・シンフィールド)によるもの。
当時はKing Crimsonを脱退し、EL&Pのイタリア公演に随行した際にPFMを“発見”し、EL&Pのマンティコア・レーベルからデビューさせたという。ちなみに5曲目のみイタリア語で歌われている。
Flavio Premoli:キーボード、ボーカル
Franz Di Cioccio:ドラムス、ボーカル
Girorgio Piazza:ベース
Fanco Mussida:ギター、ボーカル
Mauro Pagani:ヴァイオリン、ウッドウインド(木管楽器)
英詞の効果もあって、繊細さのあるオリジナル2ndよりダイナミックでドラマティック。世界進出用の企画物ではなく、きちんと作品として完成している。オリジナルと共に、どちらも傑作。 とにかく個人個人の持つ圧倒的な演奏力、5人のアンサンブルの迫力、そしてスリリングなロックの激しさと、つぶやくような静かな曲における静けさ・美しさとの差の激しさ。一部のスキもなし。
アルバム冒頭の「River Of Life(人生は川のようなもの)に凝縮される魅力。静かに始まるギターソロ。そしてフルートとのデュエット。バロック調のクラシカルで端正な美しさに聞き惚れていると、重いリズムが一気に雰囲気を覆す。切り込むヴァイオリン。さらに場面が一転し、フォークソングのような柔らかなボーカル。めまぐるしく展開するが、すべての水準が高く、どんどん魅き込まれる。
そして現れるメロトロン、ムーグ、フルートによる雄大なメロディ。クラシカルな伝統がロックのダイナミズムと見事に融合している。 スペインのグループがフラメンコ的要素を血肉として自然に持ち合わせているのと同様に、イタリア人の彼らも、古典的クラシックの要素を血肉として持ち合わせているといった感じがする。
出てくる音にためらいがないと言うか、ウソがないと言うか。クラシックの素養のあるギター、キーボード、ヴァイオリンに3人の、自然に醸し出されるクラシカルさと、クラシックに囚われないセンスの良さが光る。
日本でのデビューもこの「幻の映像」によるものだった。イギリスから出て来たバンドとは明らかに異なった雰囲気に驚いた記憶がある。ライヴアルバム 「Cook」(イタリア本国では「Live In USA」)で、基本的なテクニックだけでなく、インプロヴィゼーションの凄さも見せてくれた。
後にボーカルを強化しそれぞれが演奏に専念するために専任ボーカリストを入れるが、初期の少し頼りない感じのボーカルの持つデリケートな感覚は失われる。さらにその後専任ボーカリストが抜け、ドラムスのFranz Di Cioccioがボーカルをとるようになる。2002年の来日公演でもドラムを代役に任せて、フロントに出て歌いまくる場面があった。まるで GenesisのPhil Collinsみたいだ。
バンド名は「賞を受けたベーカリー」の意味で、
「フランツ・ディ・チッチョのインタヴューによると、パンをこねる作業と自らの音楽創造の姿を重ねたものだという。」
(「ストレンジ・デイズ No.69」ストレンジ・デイズ、2005年)より)