
YEZDA URFA(イェツダ・ウルファ)
「Sacred Baboon」(邦題は「聖なる野獣
録音は1976年。しかし当時発売はされず、マスターテープだけが眠り続け、正式にリリースさ れたのは1989年という曰く付きのアルバムだ。
Brad Christoff:ドラムス、パーカッション、咳
Rick Rondenbaugh:リードボーカル、咳
Mark Tippins:ギター、ボーカル、咳
Marc Miller:ベース、マリンバ、チェロ、ビブラフォン、
ボーカル、咳
Phil Kimbrough:キーボード、リコーダー、フルート、
アコーディオン、マンドリン、ボーカル、咳
曲は再生スピードを間違えたんじゃないかっていう感じで高速に突っ走る。落ち着きなくメロディーやリズムが変わる。関心するというか笑ってしまうくらい。しかし疾走感は失われない。ひたすら焦るように突っ走っていく。特にドラムが手数が多く、テクニカルな感じではなく力技的に全体を引っ張っていく。

Rickのボーカルは声も良いし音程も安定している。声に伸びがあるが、ノンビブラートな唄法のためYesのジョン・アンダーソンに似ている部分も。ボーカルハーモニーやボーカルアンサンブルも美しい。
メロディーが屈折しているのでキャッチーなところはないし、ギターやキーボードの派手なソロもない。Gentle Giant風に、リコーダー、グリーク風コーラス、ビブラフォンなどが乱れ飛び、せわしなく目まぐるしく曲が展開していくが、この混沌としためくるめく疾走感がクセになる。時折挿入される叙情的な展開も良い味を出している。浸っている暇もなく曲はまた屈折していくが。
ちなみに担当楽器に“咳”とあるのは、 曲の中でみんなで咳をするのです。どこかハッチャケているところが、イギリスのバンドと違って面白い。
アメリカならではの傑作。

「Boris」の方が屈折感が強いけど、わたしは本作のロック色が好み。