mandalaband (1975年)
mandalaband(マンダラバンド)
日本で発売された時のLPレコードの帯にのコピー「イエスが、リックウェイクマンが幾年を費やして築した帝国を、この恐るべき天才集団はわずか3日で制覇した。」にヤラレてしまった。
そして、そりゃあり得ないだろうと思いながら、みごと煽られてドキドキしながら買ったのが、このイギリスのmandalaband(マンダラバンド)だ。
「mandalaband」(邦題は「曼荼羅組曲」)は1975年に発表された彼らのファースト・アルバム。 1975年と言えばYesの傑作群が出た後なので、そう簡単にはダマされないぞとはわかっていても、心躍らせて聞いてみて、圧倒された。Yesとは違う。あの独特の緊張感あふれる世界を構築する個性のぶつかり合いはここにはない。しかし、壮大なスケール感、疾走感、シンフォニックでありながらテクニカルな演奏は、それだけで十分に魅力的だった。
David Durant:ボーカル
Ashely Mulford:ギター
Tony Cresswell:ドラムス、ティンパニー、チューブラベルズ
Vic Emerson:キーボード
mandalaband というグループは、そもそも曲が先に作られたという珍しい経緯を持つ。曲はLP時代にA面すべてを費やした20分を超える大曲「Om Mani Padme Hum」(邦題は「曼荼羅組曲」)、作曲者はDavid Rohlというミュージシャンからスタジオ・エンジニアに転向した人物だ。彼はこの曲を書き上げると、スタジオミュージシャンからメンバーをピックアップし、このアルバムを完成させた。
曲の内容は1950年代の中国によるチベット侵略の悲劇をテーマとしている。が、問題の「Om Mani Padme Hum」は、なんとチベット語で歌われているため、訳詞もなく内容はわからない。ライナーノートによれば、チベットの国歌になっている経文や祈りの文の一部から取られたものだと言う。
しかし「Om Mani Padme Hum」 を聞いてみるとわかるが、チベット語で歌われていることの不自然さはあまり感じない。ネイティブな歌手が自国語として歌っているわけではないので、チベット色はほとんどない。むしろ適度に曲の神秘性を高めているという程度か。チベット色がないのは音の方も同じで、まさに怒濤の迫力で聴き手を圧倒する英国産シンフォニック・ロックである。
その大曲「Om Mani Padme Hum」 は、短い読経のようなイントロで幕を開ける。すると突然キーボードが分厚い音の壁を作りボーカルが歌いだす。タイトなドラムが曲を引っぱり、いきなりトッ プスピードにギアチェンジしたような疾走感で曲は突き進んでいく。途中に入るギターも熱いソロを聞かせる。さらに合唱隊まで入ってくる。この壮大な音世界に突入するのに曲の開始からわずか2分。圧倒される。
中間部では手数が多く切れのいいドラムに乗ってジャズっぽいピアノソロがあったり、静かなボーカルパートがあったり、後半では伸びの良いギターソロが続いた りと、構成もしっかりしていて、個々のプレーヤーのプレイも魅力的だ。特にドラムとギターが気合いが入っていて、それが曲の熱い思いを伝えてくれる。ダレル箇所はどこにもなく一気に最後まで聞かせてくれる文字通り大曲である。
その他4曲は、曲がコンパクトにまとまっている分よりロック的で、大作とはまた違ったストレートな魅力がある。歌詞も英語なのでボーカルも生き生きと歌っているのがわかる。
当時印象深かったのはキーボードの音だ。ここでは実際のオーケストラとともに、オーケストラに近い、弦から金管まで入っているような音の厚みや音の使われ方 がされている。まさにキーボードオーケストレーションという感じの音作りになっているのだ。それがこの迫力を生んでいる。
Yesと比較するのは無謀であるし意味がない。しかしYesの「Close to the Edge」や、Nektarの「Recycled」のように、別世界に誘われる(引きずり込まれる)快感が得られる点は似ているかもしれない。個性の強くないボーカルもこの音世界には合っていると言える。傑作。
mandalaband(マンダラバンド)
日本で発売された時のLPレコードの帯にのコピー「イエスが、リックウェイクマンが幾年を費やして築した帝国を、この恐るべき天才集団はわずか3日で制覇した。」にヤラレてしまった。
そして、そりゃあり得ないだろうと思いながら、みごと煽られてドキドキしながら買ったのが、このイギリスのmandalaband(マンダラバンド)だ。
「mandalaband」(邦題は「曼荼羅組曲」)は1975年に発表された彼らのファースト・アルバム。 1975年と言えばYesの傑作群が出た後なので、そう簡単にはダマされないぞとはわかっていても、心躍らせて聞いてみて、圧倒された。Yesとは違う。あの独特の緊張感あふれる世界を構築する個性のぶつかり合いはここにはない。しかし、壮大なスケール感、疾走感、シンフォニックでありながらテクニカルな演奏は、それだけで十分に魅力的だった。
David Durant:ボーカル
Ashely Mulford:ギター
Tony Cresswell:ドラムス、ティンパニー、チューブラベルズ
Vic Emerson:キーボード
mandalaband というグループは、そもそも曲が先に作られたという珍しい経緯を持つ。曲はLP時代にA面すべてを費やした20分を超える大曲「Om Mani Padme Hum」(邦題は「曼荼羅組曲」)、作曲者はDavid Rohlというミュージシャンからスタジオ・エンジニアに転向した人物だ。彼はこの曲を書き上げると、スタジオミュージシャンからメンバーをピックアップし、このアルバムを完成させた。
曲の内容は1950年代の中国によるチベット侵略の悲劇をテーマとしている。が、問題の「Om Mani Padme Hum」は、なんとチベット語で歌われているため、訳詞もなく内容はわからない。ライナーノートによれば、チベットの国歌になっている経文や祈りの文の一部から取られたものだと言う。
しかし「Om Mani Padme Hum」 を聞いてみるとわかるが、チベット語で歌われていることの不自然さはあまり感じない。ネイティブな歌手が自国語として歌っているわけではないので、チベット色はほとんどない。むしろ適度に曲の神秘性を高めているという程度か。チベット色がないのは音の方も同じで、まさに怒濤の迫力で聴き手を圧倒する英国産シンフォニック・ロックである。
その大曲「Om Mani Padme Hum」 は、短い読経のようなイントロで幕を開ける。すると突然キーボードが分厚い音の壁を作りボーカルが歌いだす。タイトなドラムが曲を引っぱり、いきなりトッ プスピードにギアチェンジしたような疾走感で曲は突き進んでいく。途中に入るギターも熱いソロを聞かせる。さらに合唱隊まで入ってくる。この壮大な音世界に突入するのに曲の開始からわずか2分。圧倒される。
中間部では手数が多く切れのいいドラムに乗ってジャズっぽいピアノソロがあったり、静かなボーカルパートがあったり、後半では伸びの良いギターソロが続いた りと、構成もしっかりしていて、個々のプレーヤーのプレイも魅力的だ。特にドラムとギターが気合いが入っていて、それが曲の熱い思いを伝えてくれる。ダレル箇所はどこにもなく一気に最後まで聞かせてくれる文字通り大曲である。
その他4曲は、曲がコンパクトにまとまっている分よりロック的で、大作とはまた違ったストレートな魅力がある。歌詞も英語なのでボーカルも生き生きと歌っているのがわかる。
当時印象深かったのはキーボードの音だ。ここでは実際のオーケストラとともに、オーケストラに近い、弦から金管まで入っているような音の厚みや音の使われ方 がされている。まさにキーボードオーケストレーションという感じの音作りになっているのだ。それがこの迫力を生んでいる。
Yesと比較するのは無謀であるし意味がない。しかしYesの「Close to the Edge」や、Nektarの「Recycled」のように、別世界に誘われる(引きずり込まれる)快感が得られる点は似ているかもしれない。個性の強くないボーカルもこの音世界には合っていると言える。傑作。