2009/06/30

「ショウ・オブ・ハンズ」

Show of Hands(1991年)


Robert Fripp & The League of Crafty Guitarists
(ロバート・フリップ&ザ・リーグ・オブ・クラフティ・ギタリスツ)


「Show of Hands」は、King CrimsonのギタリストRobert Frippが、自身を含む総勢17名のギタリストと作り上げたアコースティック・ギター・アンサンブル作品。短い無伴奏ボーカルを間にはさみながら、非常 にリズムを重視したギターがからみあう曲が19曲収録されている。

決してクラシカルな音ではない。むしろロックに近い。メロディーよりもリズム、そして重なり合う複雑なアンサンブル。個々のギターはシーケンサーのように同じフレーズを繰り返したり、5拍子、7拍子と変化する曲を何事もなかったように同じテンポで引き続ける。

情感豊かに歌うこともない。コードを鳴らすことすら少ない。複数のギターの
単音が複雑に動き合い重なり合う。そして微妙にリズムをずらしたり、ユニゾンになったりと収束と拡散を繰り返す。時にスリリング、時にコミカル。決して難解な音楽でない絶妙なバランス。


バリ島のケチャのようなリズムが渦巻く音楽を、極めて統制され訓練されたギターの音が職人的に奏でているとでも言おうか。でもそこに不思議な安らぎや刺激やハッとするような美しい音が潜んでいる。

もちろん80年代のKing Crimsonがアルバム「Discipline」の影響は見て取れる。でもこのアルバムはそこで試みた実験的な音作りのひとつの完成型なのだと思う。

最初の耳障りはよくないかもしれないけど、時々無性に聴きたくなる不思議なアルバムだ。