Danger Money(1979年)
U.K.(ユー・ケー)
「Danger Money」(邦題は「デンジャー・マネー」)は、イギリスの国名をそのままバンド名にしたU.K.(ユー・ケー)の、1979年に発表した2作目の作品である。
とは言っても1作目とメンバーやバンドコンセプトが異なるので、実質New U.K.のファーストという感じだ。ロック色の強いストレートな力強さを持ちながら、1970年代前半のプログレッシヴ・ロックの持っていた複雑な曲構成や、大作志向も残されていて、絶妙にブレンドされたサウンドが特徴である。
そもそもKing Crimsonの解散後、そのメンバーだったBill Bruford(ビル・ブラッフォード)とJohn Wetton(ジョン・ウェットン)が中心となり、新しいバンドの結成を計画していた。そしてそのバンドは、なんとYesのキーボード奏者Rick Wakemanを入れた、トリオとして動き出したものだった。それは1976年の英メロディー・メーカー誌に載った。
しかしこのプランはレコード会社との契約の関係などで結局実現せず、キーボードとヴァイオリンで活躍中だったEddie Jobsonを迎え入れるかたちでトリオ案が実現に向う。そこにBillがソロアルバムで共演したギターのAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が加入し、ギター、キーボード兼ヴァイオリンという2枚看板をフロントに立てた強力なメンバーによる初代U.K.が誕生する。
しかしアルバム「U.K.」一枚を残して分裂し、結果的に「U.K.」は初期の構想通りのトリオとして生まれ変わることになる。ただしドラムスはフランク・ザッパのバンドなどで超絶ドラミングを披露していたTerry Bozzioが加入する。
Eddie Jobson:キーボード、エレクトリック・ヴァイオリン
John Wetton:リード・ボイス、ベース
Terry Bozzio:ドラムス、パーカッション
一聴してわかるのは、曲がシンプルかつストレートになったこと。キーボードとボーカルを主体とし、ヴァイオリンが独特の味を出している。ギターがいなくなった分、インストゥルメンタル部分が整理され、自由にプレイしている感じがする。
そしてドラムスの違い。Terry Bozzioは現在のテクニカル系のメタルやプログレッシヴ・ロックドラマーの祖という感じで、非常にパワフル&テクニカルなプレーをする。特にパワフルである点が、トリオとなった新U.K.の新しい魅力として活きているのだ。
最初の曲「Danger Money」(「危険手当」のこと)は、重々しいベースとドラムスに、厚みのあるキーボードで始まる。まさにキーボード・トリオ誕生を宣言するようなイントロだ。そしてボーカルが入るとメロディの明快さに気づく。詞の内容も金のために闇の仕事をしている人物を描いたもの(ProgLyricsに訳詞があります)。
重々しい内容を複雑に重厚に描くという手段は止め、よりストレートに、しかし良く聴くとリズムや楽器アンサンブルに工夫やヒネリが加わっているという点は、初代U.K.の方向性をさらに進めたものだ。
バッキング、メロディー、ソロとEddie Jobsonが大活躍。2曲目「Rendezvous 6:02」では華麗なキーボードを聴かせるし、4曲目「Caesar's Palace Blues」では終止クラシカルなヴァイオリンが響く。5曲目はシングルも出した「Nothing To Lose」は、このアルバム中一番ポップな曲。歌詞も前向き。(ProgLyricsに訳詞があります)。でも中間部のヴァイオリン・ソロがカッコイイ。
しかしプログレッシヴ・ロック的な要素もまだまだ残っており、3曲目(LP時代のA面ラスト)「The Only Thing She Needs」では、複雑なリズム、ダイナミックな展開、キーボードソロなど、ぐいぐいと聴くものを引っ張っていく大曲だし、ヴァイオリン、ドラムスが弾きまくる。
そして最後の「Carrying To Cross」。12分のドラマティックな曲。静かなボーカルパートから魅き込まれる。John Wettonの声はやっぱりいい。そして中間部のインストパートは手に汗握るテンション。後半は一転して5拍子の変拍子で押しまくる。細かなフィルを入れ、切れとパワーのあるドラムの上で、キーボードソロ、ヴァイオリンソロが歌いまくる。大作だ。
結局新生U.K.もこのあと来日アルバム「Night After Night」を発表して解散してしまうが、初代U.K.とともに、この絶妙なポップ感とプログレッシヴ・ロック的イデオムの融合が、とてもドラマチックなアルバムとなった。元気が出るアルバムだ。Asiaほどポップにならない理想的なバランスが、まさにこの時期だからこそ作り得た傑作。
ちなみに来日したときは美形のEddie Jobson効果もあり、アイドルバンド的人気があったのが印象的だった。John Wettonも痩せてたしね。
U.K.(ユー・ケー)
「Danger Money」(邦題は「デンジャー・マネー」)は、イギリスの国名をそのままバンド名にしたU.K.(ユー・ケー)の、1979年に発表した2作目の作品である。
とは言っても1作目とメンバーやバンドコンセプトが異なるので、実質New U.K.のファーストという感じだ。ロック色の強いストレートな力強さを持ちながら、1970年代前半のプログレッシヴ・ロックの持っていた複雑な曲構成や、大作志向も残されていて、絶妙にブレンドされたサウンドが特徴である。
そもそもKing Crimsonの解散後、そのメンバーだったBill Bruford(ビル・ブラッフォード)とJohn Wetton(ジョン・ウェットン)が中心となり、新しいバンドの結成を計画していた。そしてそのバンドは、なんとYesのキーボード奏者Rick Wakemanを入れた、トリオとして動き出したものだった。それは1976年の英メロディー・メーカー誌に載った。
しかしこのプランはレコード会社との契約の関係などで結局実現せず、キーボードとヴァイオリンで活躍中だったEddie Jobsonを迎え入れるかたちでトリオ案が実現に向う。そこにBillがソロアルバムで共演したギターのAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が加入し、ギター、キーボード兼ヴァイオリンという2枚看板をフロントに立てた強力なメンバーによる初代U.K.が誕生する。
しかしアルバム「U.K.」一枚を残して分裂し、結果的に「U.K.」は初期の構想通りのトリオとして生まれ変わることになる。ただしドラムスはフランク・ザッパのバンドなどで超絶ドラミングを披露していたTerry Bozzioが加入する。
Eddie Jobson:キーボード、エレクトリック・ヴァイオリン
John Wetton:リード・ボイス、ベース
Terry Bozzio:ドラムス、パーカッション
一聴してわかるのは、曲がシンプルかつストレートになったこと。キーボードとボーカルを主体とし、ヴァイオリンが独特の味を出している。ギターがいなくなった分、インストゥルメンタル部分が整理され、自由にプレイしている感じがする。
そしてドラムスの違い。Terry Bozzioは現在のテクニカル系のメタルやプログレッシヴ・ロックドラマーの祖という感じで、非常にパワフル&テクニカルなプレーをする。特にパワフルである点が、トリオとなった新U.K.の新しい魅力として活きているのだ。
最初の曲「Danger Money」(「危険手当」のこと)は、重々しいベースとドラムスに、厚みのあるキーボードで始まる。まさにキーボード・トリオ誕生を宣言するようなイントロだ。そしてボーカルが入るとメロディの明快さに気づく。詞の内容も金のために闇の仕事をしている人物を描いたもの(ProgLyricsに訳詞があります)。
重々しい内容を複雑に重厚に描くという手段は止め、よりストレートに、しかし良く聴くとリズムや楽器アンサンブルに工夫やヒネリが加わっているという点は、初代U.K.の方向性をさらに進めたものだ。
バッキング、メロディー、ソロとEddie Jobsonが大活躍。2曲目「Rendezvous 6:02」では華麗なキーボードを聴かせるし、4曲目「Caesar's Palace Blues」では終止クラシカルなヴァイオリンが響く。5曲目はシングルも出した「Nothing To Lose」は、このアルバム中一番ポップな曲。歌詞も前向き。(ProgLyricsに訳詞があります)。でも中間部のヴァイオリン・ソロがカッコイイ。
しかしプログレッシヴ・ロック的な要素もまだまだ残っており、3曲目(LP時代のA面ラスト)「The Only Thing She Needs」では、複雑なリズム、ダイナミックな展開、キーボードソロなど、ぐいぐいと聴くものを引っ張っていく大曲だし、ヴァイオリン、ドラムスが弾きまくる。
そして最後の「Carrying To Cross」。12分のドラマティックな曲。静かなボーカルパートから魅き込まれる。John Wettonの声はやっぱりいい。そして中間部のインストパートは手に汗握るテンション。後半は一転して5拍子の変拍子で押しまくる。細かなフィルを入れ、切れとパワーのあるドラムの上で、キーボードソロ、ヴァイオリンソロが歌いまくる。大作だ。
結局新生U.K.もこのあと来日アルバム「Night After Night」を発表して解散してしまうが、初代U.K.とともに、この絶妙なポップ感とプログレッシヴ・ロック的イデオムの融合が、とてもドラマチックなアルバムとなった。元気が出るアルバムだ。Asiaほどポップにならない理想的なバランスが、まさにこの時期だからこそ作り得た傑作。
ちなみに来日したときは美形のEddie Jobson効果もあり、アイドルバンド的人気があったのが印象的だった。John Wettonも痩せてたしね。