Mekong Delta(メコン・デルタ)
「Dances Of Death」(邦題は「ダンセズ・オブ・デス」)はドイツのテクニカル・メタルバンドMekong Delta(メコン・デルタ)の1990年作の第5作目。タイトルは「死神の踊り」。当初はメンバー名も隠し、プロモーションやインタビューなどもほとんど行わず、その高度で複雑怪奇な曲でリスナーの度肝を抜いたバンドだ。
しかしこのアルバム発売の頃には、ベースのRalph Hubert(ラルフ・ヒューベルト)を中心とするプロジェクトバンドであることがわかってきていた。ちなみにRalphはプロデューサー/エンジニアとして知られていた存在だった。
スラッシュ・メタルの要素が強く、ザクザクと刻まれるリフでありながら、曲はどこまでも突っ走る。変拍子リズムも満載で、一聴したくらいでは曲の全体像がまったく掴めない。
にも関わらず、クラシックへの関心度も高く、各アルバムに必ずクラシック曲を入れているというこだわり。後には「展覧会の絵」をバンドヴァージョンとバンド&オーケストラヴァージョンと2種類入れたアルバムを出すなどというスゴいことも行っている。
わたしが最初に聴いたのは2ndアルバムで、H.P. Lovecraft(ラブクラフト)の同名小説をコンセプトに作り上げた「The Music Of Erich Zann」。最初の印象は「曲構成が全然つかめん!それでもこの勢いで最後まで演奏を続けるのかぁ!」だった。ボーカルが乗るのを拒絶してるんじゃないかと思えるほど、入り組んだ曲をハイスピードで演奏していた。
本作は、初期のスラッシュ・メタルな攻撃性と複雑な曲構成を残しながら、全4曲、そのうち1曲は19分を越え、さらにもう1曲、10分を越える、バンドアレンジによる「Night On A Bare Mountain(はげ山の一夜)」を含む大作となっている。
一般的な括りとしてはプログレッシヴ・ロックと見なされないかもしれないが、私的には完全にプログレッシヴ・ロックである。曲の屈折度と演奏のスゴさ、さらに実は譜面に起こして作曲していると言う構築性の高さを持ちながら、ヘヴィなリフの嵐。そしてリフも変拍子。
タイトル曲「Dances Of Death」は8パートに分かれた19分を一気に突っ走る曲。でありながら、クラシックのロンド形式に乗っ取って書かれていて、同じ主題(ロンド主題)を、異なる旋律をはさみながら、何回も繰り返すというもの。
Doug Lee:ボーカル
Uwe Baltrusch:ギター
Ralph Hubert(Bjorn Eklund):ベース、アコースティックギター
Jorg Michael(Gordon Perkins) :ドラムス
Dream Theater系のプログレッシヴ・テクニカル・メタルに比べ、それこそ譜面で弾いているかのように全員が複雑なアンサンブルを奏でながら疾走しているので、叙情的な部分や動の部分に対する静の部分とかいった緩急はなく、ボーカルもキャッチーなメロディーとは縁遠く、時には楽器の一部のような扱い。
キメと言えるような構成上の見せ場もなく、ひたすら渦巻き突き進む、よりマニアックな音だと言えようか。それでも初期の頃に比べ多少全体像を捕らえやすくなったかという感じ。
ツ インギターだった編成が、本作からギターが一人になり、コンパクトなバンド編成になったこともあり、それまでのアルバムではクラシック曲が異質な感じがし たが、本アルバムでは、オリジナルの大曲も2曲の小曲も、最後のクラシック編曲大作も、違和感なく同じ流れの中で聴くことが出来る。
そして問題の「Night On A Bare Mountain(はげ山の一夜)」。これまでのアルバムでのクラシック曲の編曲もかなりオリジナルに忠実なアレンジがなされていたが、ここでも極めて元の曲に忠実にメタル化している。しかしツーバス、メタルリフの嵐は変わらず。
しかしテクニカルにしてクラシカルなので、プログレッシヴ・ ロックなのかスラッシュ・メタルなのか、クラシックなのか頭が混乱する。そこがまた快感。そして完全インストゥルメンタルで最後まで突き進む。キーボードなしのギターバンドだから、メロディとリフが勝負だ。緩さのカケラもない。逆に鬼気迫る感じはオリジナルの目指すところに近いのかも。
アルバムの最初と最後に入るRalph Hubertの音の太いアコースティックギターが、唯一静寂をもたらす至福の瞬間だ。
このギターリフとパワフル&テクニカルなドラムス、そして延々と続くかのような変拍子メタル。甘いメロディーや美しいハーモニー、分厚いキーボードや夢見るようなアコースティックパートを求める人には、かなりの拒絶反応があるだろう。
でもハマると抜けられない魅力を持つ。傑作である。
ちなみに前述の「The Music Of Erich Zann」も名作だが、個人的には新ボーカルが、加入以前の曲に付いていけなくなりそうなまま突っ走るライブアルバム「Live At An Exhibition」がスリリングでお気に入り。そして久しぶりに出た最新作「Lurking Fear(ラーキング・フィア)」(2007)がまたイイ。ボーカルがハモルんですよ、なんと。
プログレッシヴ・ロック的には、いかにもメタル系なギトギトしたジャケットがキツいですか。
しかしこのアルバム発売の頃には、ベースのRalph Hubert(ラルフ・ヒューベルト)を中心とするプロジェクトバンドであることがわかってきていた。ちなみにRalphはプロデューサー/エンジニアとして知られていた存在だった。
スラッシュ・メタルの要素が強く、ザクザクと刻まれるリフでありながら、曲はどこまでも突っ走る。変拍子リズムも満載で、一聴したくらいでは曲の全体像がまったく掴めない。
にも関わらず、クラシックへの関心度も高く、各アルバムに必ずクラシック曲を入れているというこだわり。後には「展覧会の絵」をバンドヴァージョンとバンド&オーケストラヴァージョンと2種類入れたアルバムを出すなどというスゴいことも行っている。
わたしが最初に聴いたのは2ndアルバムで、H.P. Lovecraft(ラブクラフト)の同名小説をコンセプトに作り上げた「The Music Of Erich Zann」。最初の印象は「曲構成が全然つかめん!それでもこの勢いで最後まで演奏を続けるのかぁ!」だった。ボーカルが乗るのを拒絶してるんじゃないかと思えるほど、入り組んだ曲をハイスピードで演奏していた。
本作は、初期のスラッシュ・メタルな攻撃性と複雑な曲構成を残しながら、全4曲、そのうち1曲は19分を越え、さらにもう1曲、10分を越える、バンドアレンジによる「Night On A Bare Mountain(はげ山の一夜)」を含む大作となっている。
一般的な括りとしてはプログレッシヴ・ロックと見なされないかもしれないが、私的には完全にプログレッシヴ・ロックである。曲の屈折度と演奏のスゴさ、さらに実は譜面に起こして作曲していると言う構築性の高さを持ちながら、ヘヴィなリフの嵐。そしてリフも変拍子。
タイトル曲「Dances Of Death」は8パートに分かれた19分を一気に突っ走る曲。でありながら、クラシックのロンド形式に乗っ取って書かれていて、同じ主題(ロンド主題)を、異なる旋律をはさみながら、何回も繰り返すというもの。
Doug Lee:ボーカル
Uwe Baltrusch:ギター
Ralph Hubert(Bjorn Eklund):ベース、アコースティックギター
Jorg Michael(Gordon Perkins) :ドラムス
( )内は変名
Dream Theater系のプログレッシヴ・テクニカル・メタルに比べ、それこそ譜面で弾いているかのように全員が複雑なアンサンブルを奏でながら疾走しているので、叙情的な部分や動の部分に対する静の部分とかいった緩急はなく、ボーカルもキャッチーなメロディーとは縁遠く、時には楽器の一部のような扱い。
キメと言えるような構成上の見せ場もなく、ひたすら渦巻き突き進む、よりマニアックな音だと言えようか。それでも初期の頃に比べ多少全体像を捕らえやすくなったかという感じ。
ツ インギターだった編成が、本作からギターが一人になり、コンパクトなバンド編成になったこともあり、それまでのアルバムではクラシック曲が異質な感じがし たが、本アルバムでは、オリジナルの大曲も2曲の小曲も、最後のクラシック編曲大作も、違和感なく同じ流れの中で聴くことが出来る。
そして問題の「Night On A Bare Mountain(はげ山の一夜)」。これまでのアルバムでのクラシック曲の編曲もかなりオリジナルに忠実なアレンジがなされていたが、ここでも極めて元の曲に忠実にメタル化している。しかしツーバス、メタルリフの嵐は変わらず。
しかしテクニカルにしてクラシカルなので、プログレッシヴ・ ロックなのかスラッシュ・メタルなのか、クラシックなのか頭が混乱する。そこがまた快感。そして完全インストゥルメンタルで最後まで突き進む。キーボードなしのギターバンドだから、メロディとリフが勝負だ。緩さのカケラもない。逆に鬼気迫る感じはオリジナルの目指すところに近いのかも。
アルバムの最初と最後に入るRalph Hubertの音の太いアコースティックギターが、唯一静寂をもたらす至福の瞬間だ。
このギターリフとパワフル&テクニカルなドラムス、そして延々と続くかのような変拍子メタル。甘いメロディーや美しいハーモニー、分厚いキーボードや夢見るようなアコースティックパートを求める人には、かなりの拒絶反応があるだろう。
でもハマると抜けられない魅力を持つ。傑作である。
ちなみに前述の「The Music Of Erich Zann」も名作だが、個人的には新ボーカルが、加入以前の曲に付いていけなくなりそうなまま突っ走るライブアルバム「Live At An Exhibition」がスリリングでお気に入り。そして久しぶりに出た最新作「Lurking Fear(ラーキング・フィア)」(2007)がまたイイ。ボーカルがハモルんですよ、なんと。
プログレッシヴ・ロック的には、いかにもメタル系なギトギトしたジャケットがキツいですか。