Recuerdos De Mi Tierra(1979年)
Mezquita(メスキータ)
「Recuerdos De Mi Tierra」(邦題は「故郷の思い出」)は、スペインのバンドMezquita(メズキータ)の作品。1979年発表のデビューアルバムだ。
スペインではすでに1975年にTriana(トリアーナ)がフラメンコを大胆に取り入れたロックを作り出し、この作品と同年の1979年にはプログレ色が強い「Sombra Y Luz」という3rdアルバムを発表している。まさにスパニッシュ・プログレッシヴ・ロックが大きな盛り上がりを見せている時期の作品である。
スペインと言うとやはりフラメンコ。フラメンコ・ロックというと以前紹介したアメリカのCarmen(カルメン)やご当地スペインのTriana(トリアーナ)と比較したくなるが、よりテクニカルで演奏重視なのがMezquitaの特徴。シンフォニック的な広がりや厚みのある音というよりは、ジャズロック的なアンサンブル重視の音である。
クドくはないが熱いボーカル、泥臭さはなく非常にせわしない演奏。そしてここぞとばかりに用意されるフラメンコギター、見事に計算された展開だ。
Jose Rafa:ギター、ボーカル
Randy:ベース、パーカッション、ボーカル
Roscka:キーボード、ボーカル
Zorrilla:ドラムス、パーカッション、ボーカル
《guest》
Snatlago Crespo, Jose Azpiri, Juan Ferrera:ヴァイオリン
Manuel Lopez:チェロ
まず演奏技術が高い。ギターはフルピッキングで弾きまくる。キーボードは独特の音色でメロディーを奏でる。シンセサイザーが民族楽器風な、ちょっと中近東風な楽器のような個性的な音なのも特徴だ。ドラムスがタイトで手数が多い。スピード感はドラムスが引っ張っている感じ。その上をテクニカルなキーボードとロック的なギターが奔放に駆け回る。
フラメンコギター、パルマ(手拍子)を活かしたジャズロック風な曲に、フラメンコ・カンテ風のボーカルが入る。管弦楽が入る曲もある。曲調は多彩。展開やリズムチェンジも多く、落ち着きがないくらいな場面と、ゆったりしたボーカルやフラメンコ・ギターの緩急のつけ方が絶妙だ。
フラメンコ色は濃いのだが、それを醸し出すのはボーカルやメロディーが主で、実はフラメンコギターやパルマといったフラメンコそのものの出番はそれほど多くないし、超絶的な技を披露するわけでもない。うまく見せ場を作っているため、とてもフラメンコの哀愁や情熱が印象に残る。
テクニカルな演奏と叙情的なメロディー、そしてフラメンコ要素が非常にバランス良く混ぜ合わされており、フラメンコ・ロックと言うよりは、まさにフラメンコ・“プログレッシヴ”・ロックという趣きがうれしい作品。ラストのインストゥルメンタルもギターが弾きまくって熱い。
キーボードの独特な音色をチープと取るか、面白がれるかで印象は分かれるかもしれないが、演奏のテンションの高さと全編にあふれる静かな情熱は、非常に魅力的だ。ボーカルがスペイン語なのも得点高し。傑作。
ちなみにMezquita(メスキータ)とはイスラム寺院のこと。メンバーはアンダルシア地方のコルドバ出身だ。ジャケットの建物はミナレットと呼ばれる尖塔。そしてまさにコルドバにあるメスキータのミナレットそのものである(右下写真)。
ミナレットだけを残して荒れ果てた故郷を描くジャケットは、失われ行くアンダルシア文化への嘆きだろうか。
Mezquita(メスキータ)
「Recuerdos De Mi Tierra」(邦題は「故郷の思い出」)は、スペインのバンドMezquita(メズキータ)の作品。1979年発表のデビューアルバムだ。
スペインではすでに1975年にTriana(トリアーナ)がフラメンコを大胆に取り入れたロックを作り出し、この作品と同年の1979年にはプログレ色が強い「Sombra Y Luz」という3rdアルバムを発表している。まさにスパニッシュ・プログレッシヴ・ロックが大きな盛り上がりを見せている時期の作品である。
スペインと言うとやはりフラメンコ。フラメンコ・ロックというと以前紹介したアメリカのCarmen(カルメン)やご当地スペインのTriana(トリアーナ)と比較したくなるが、よりテクニカルで演奏重視なのがMezquitaの特徴。シンフォニック的な広がりや厚みのある音というよりは、ジャズロック的なアンサンブル重視の音である。
クドくはないが熱いボーカル、泥臭さはなく非常にせわしない演奏。そしてここぞとばかりに用意されるフラメンコギター、見事に計算された展開だ。
Jose Rafa:ギター、ボーカル
Randy:ベース、パーカッション、ボーカル
Roscka:キーボード、ボーカル
Zorrilla:ドラムス、パーカッション、ボーカル
《guest》
Snatlago Crespo, Jose Azpiri, Juan Ferrera:ヴァイオリン
Manuel Lopez:チェロ
まず演奏技術が高い。ギターはフルピッキングで弾きまくる。キーボードは独特の音色でメロディーを奏でる。シンセサイザーが民族楽器風な、ちょっと中近東風な楽器のような個性的な音なのも特徴だ。ドラムスがタイトで手数が多い。スピード感はドラムスが引っ張っている感じ。その上をテクニカルなキーボードとロック的なギターが奔放に駆け回る。
フラメンコギター、パルマ(手拍子)を活かしたジャズロック風な曲に、フラメンコ・カンテ風のボーカルが入る。管弦楽が入る曲もある。曲調は多彩。展開やリズムチェンジも多く、落ち着きがないくらいな場面と、ゆったりしたボーカルやフラメンコ・ギターの緩急のつけ方が絶妙だ。
フラメンコ色は濃いのだが、それを醸し出すのはボーカルやメロディーが主で、実はフラメンコギターやパルマといったフラメンコそのものの出番はそれほど多くないし、超絶的な技を披露するわけでもない。うまく見せ場を作っているため、とてもフラメンコの哀愁や情熱が印象に残る。
テクニカルな演奏と叙情的なメロディー、そしてフラメンコ要素が非常にバランス良く混ぜ合わされており、フラメンコ・ロックと言うよりは、まさにフラメンコ・“プログレッシヴ”・ロックという趣きがうれしい作品。ラストのインストゥルメンタルもギターが弾きまくって熱い。
キーボードの独特な音色をチープと取るか、面白がれるかで印象は分かれるかもしれないが、演奏のテンションの高さと全編にあふれる静かな情熱は、非常に魅力的だ。ボーカルがスペイン語なのも得点高し。傑作。
ちなみにMezquita(メスキータ)とはイスラム寺院のこと。メンバーはアンダルシア地方のコルドバ出身だ。ジャケットの建物はミナレットと呼ばれる尖塔。そしてまさにコルドバにあるメスキータのミナレットそのものである(右下写真)。
ミナレットだけを残して荒れ果てた故郷を描くジャケットは、失われ行くアンダルシア文化への嘆きだろうか。