2009/07/15

「ライヴ 2004」

Live 2004(2005年)

KBB(ケー・ビー・ビー)


KBB は日本のバンドである。第一線で活躍しているバイオリン・フロントのインストゥルメンタルバンドだ。世界に誇れるバイオリン・ロックだと言ってよい。

Live 2004」は文字通り2004年のライブ盤で、2005年に発表されたサード・アルバムにあたる。ファーストから2曲、セカンドから3曲、それに新曲を1 曲加えたベスト盤的な楽曲を、スタジオ盤を凌ぐ迫力で演奏する。

 壷井彰久:バイオリン
 高橋利光:キーボード
 Dani  :ベース
 菅野詩郎:ドラムス

KBB はまずバイオリンが縦横無尽に駆け回ることが最大の魅力のバンドである。キーボードとドラムスはジャズっぽい部分を持っているので、ジャズロック的ではあるが、バイオリンが入るとジャズロックとシンフォニック・ロックとの間を自由に行き来する。

テクニカルであり変拍子も多様しながら、耳に優しいメロディーであり、しかし聴き入っているとKing CrimsonのRobert Frippかと思うようなねじれたような音の強烈なバイオリン・ソロが飛び出したりする。どの曲も構成が素晴らしい。

バイオリンの音も良い。エレクトリック・バイオリンでありながら、例えばJean Luc Ponty(ジャン・リュック・ポンティ)やDavid Cross(デビッド・クロス)ほどに音処理を加えていないので、生に近い音が特徴。ともすればギターやキーボードの音に似てしまうエレクトリック・バイ オリンだが、KBBではバイオリンらしい音を堪能できる。

このようにバイオリンが主役は間違いないのだが、他のメンバーも非常にテクニシャンである。良く聴くと高度なバイオリンの動きに、キーボードがユニゾンで鳴っていたり、ベースが ユニゾンで歌っていたりする。

キーボードの音色も工夫がされていて、バイオリン的な音でバイオリンがハモっているように聴かせたり、シンセの音で中音域を サポートしたりと、目立たないところでも見事なプレイが光る。バイオリン抜きの場面では、ハードなジャズ・トリオのようなピアノも飛び出し、KBBの音楽に幅と厚みを加えている。

タイトで繊細なシンバルワークが光るドラム、ボトムから中音域まで自在に動き回り、リズムとメロディーを引き分けるベースも魅力的だ。このリズム隊と、フロントのバイオリン、フロントにサポートにと活躍するキーボードのコンビネーションが抜群。そして熱い。

ジャズロックのテクニカルさや驚異的なソロ、そしてシンフォニックな弦の音の美しさやたおやかなメロディーの理想的な融合。日本が世界に誇れるインスト・バンドであり、今までになかったタイプの希有なバイオリン・ロックバンド。その最高のライブ。傑作です。

(写真はKBB Home Pageより)