2009年7月13日月曜日

「聖なる野獣」

Sacred Baboon(1976年)

YEZDA URFA(イェツダ・ウルファ)


Sacred Baboon」(邦題は「聖なる野獣」)は、アメリカのバンドYEZDA URFA(イェツダ・ウルファ)のセカンドアルバムである。

録音は1976年。しかし当時発売はされず、マスターテープだけが眠り続け、正式にリリースさ れたのは1989年という曰く付きのアルバムだ。

 Brad Christoff:ドラムス、パーカッション、咳
 Rick Rondenbaugh:リードボーカル、咳
 Mark Tippins:ギター、ボーカル、咳
 Marc Miller:ベース、マリンバ、チェロ、ビブラフォン、
       ボーカル、咳
 Phil Kimbrough:キーボード、リコーダー、フルート、
         アコーディオン、マンドリン、ボーカル、咳

曲は再生スピードを間違えたんじゃないかっていう感じで高速に突っ走る。落ち着きなくメロディーやリズムが変わる。関心するというか笑ってしまうくらい。しかし疾走感は失われない。ひたすら焦るように突っ走っていく。特にドラムが手数が多く、テクニカルな感じではなく力技的に全体を引っ張っていく。

各楽器のアンサンブルテクニックは相当なものだ。バラバラになりそうな曲をノリノリでプレイしていく。そこにハイトーンボーカルが乗る。

Rickのボーカルは声も良いし音程も安定している。声に伸びがあるが、ノンビブラートな唄法のためYesのジョン・アンダーソンに似ている部分も。ボーカルハーモニーやボーカルアンサンブルも美しい。


メロディーが屈折しているのでキャッチーなところはないし、ギターやキーボードの派手なソロもない。Gentle Giant風に、リコーダー、グリーク風コーラス、ビブラフォンなどが乱れ飛び、せわしなく目まぐるしく曲が展開していくが、この混沌としためくるめく疾走感がクセになる。時折挿入される叙情的な展開も良い味を出している。浸っている暇もなく曲はまた屈折していくが。

ちなみに担当楽器に“咳”とあるのは、 曲の中でみんなで咳をするのです。どこかハッチャケているところが、イギリスのバンドと違って面白い。

アメリカならではの傑作。

なお、このアルバムの原型となるアルバム「Boris」(邦題は「ボリス」左図)が1975年に自主制作されている。本アルバムよりアコースティック色が濃く、「Sacred Baboon」と重複する曲もあるがアレンジが大きく異なっている。

「Boris」の方が屈折感が強いけど、わたしは本作のロック色が好み。


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