2009年7月12日日曜日

「ロマン組曲」

Un Po' Del Nostro Tempo Migliore(1975年)

I Pooh(イ・プー)


「Un Po' Del Nostro Tempo Migliore」(邦題は「ロマン組曲」)はイタリアのグループI Pooh(イ・プー)の1975年のアルバム。

I Poohというとプログレッシヴ・ロックのフィールドでは「PARSIFAL」(邦題は「パルシファル」)が有名だが、アルバムとして見た時の完成度、魅力はこちらが上と言いたい。

I Poohはもともと非常に優れたポップ・バンドであり、そのメロディアスな部分と、オーケストラを交えたインストゥルメンタル部分がここでは無理なく溶け 込んで、すばらしく美しい世界を作っている。


 Roby Facchinetti:ボーカル、キーボード
 Stefano D'orzio:ボーカル、ドラムス、パーカッション、フルート
 Dody Battaglia:ボーカル、ギター、マンドリン、シタール
 Red Canzian:ボーカル、ベース、バイオリン、ギター

I Poohはその長い歴史の中で、このアルバムの時期に生のオーケストラを非常に効果的に使っていた。その後、自分たちの演奏主体のバ ンドとなっていくが、基本的なメロディーの美しさは普遍というすばらしいバンド。

しかし雄大なオーケストラの音に包まれて描かれる甘美な世界はこのアルバムならではで、ノスタルジックな別世界へと聴く者を誘う。そしてすべての曲がいい!


最初の曲「Prelude」はインストゥルメンタル。 いきなりオーケストラ全開。静かにゆるやかに始まるオーケストラが奏でるのは、美し過ぎるメロディー。次第にオーケストラの音に厚みが加わるとともに、I Poohのメンバーの演奏がロック的なリズムを加え、曲の雄大さが広がっていく。気づけばもうI Poohの世界にどっぷり浸っている。

「Credo」からボーカル曲が続く。甘い声というよりメリハリの利いた声が、甘いメロディーと絡み付くように流れるクラシカルなオーケストラの音に映える。全員が取るハーモニーも美しい。「Oceano」はボーカル、演奏、オーケストラが一体となって、ドラマチックな世界を作る大好きな曲。最初聴いた時、この曲にはその美しさと激しさに唸ったものだ。

アルバム中間部(LP時代のA面最後)に入るインストゥルメンタル曲「Mediterraneo」も軽やかにはじかれる 弦のアコースティックな音が、とてもいい味を出している。


そしてラスト「Il Tempo, Una Donna, La Citta」は10分を超す大曲。しかしプログレっぽい手の込んだ難しいことをしているわけではない。そこがいい。ひたすら甘美なボーカルとオーケストラが、優しく ノスタルジックな世界を、打ち寄せる波のように描いていく。バンド演奏も安定感があり、ギターの後ろでシンセサイザーがユニゾンで鳴っていたりとスキがない。中間部の生ギターでの弾き語り風パートも美しい。

オーケストラを大胆に取り入れながら、それに頼っていない。各メンバーの演奏そのものがしっかりとしている。バンドそのものの魅力なくして、このアルバムはここまでの完成度を見せなかっただろう。

最初に聴いたのは高校時代のFM放送だった。とにかくこんな美しくドラマチックな音楽聴いたことがなかった。急いでバンド名を書き留めたのを覚えている。イタリア関連でも美しさでは群を抜く傑作。超愛聴盤。


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