2009年7月17日金曜日

「哀愁の南十字星」

FOUR MOMENTS(1976年)

Sebastian Hardie(セバスチャン・ハーディー)


FOUR MOMENTS」(邦題は「哀愁の南十字星」又は「フォー・モーメンツ」)はオーストラリア出身のSebastian Hardie(セバスチャン・ハーディー)が1975年に出したデビューアルバムである。

当時ラジオでCamelの「Moonmadness」(邦題は「ムーンマッドネス『月夜の幻想曲』」)から名曲「Air Born」とともにオンエアされた記憶がある。Sebastian Hardieからは2曲目の「Dawn of Our Sun」が流された。聴いていてびっくりした。Camelはすでに知っていた。「Air Born」もすばらしく幻想的で魅力的な曲だ。しかし、この初めて耳にするSebastian Hardieの「Dawn of Our Sun」は、それを超える程、美しいじゃないか。

アルバム「FOUR MOMENTS」は収録曲としては6曲が記載されているが、前半4曲はつながっており、テーマ旋律の展開や繰り返しなどの構成を考えても、実質「FOUR MOMENTS」という大作の4つのパートと考えられる。トータル20分に渡る組曲なのである。

Mario Millo:ギター、マンドリン、ボーカル
Peter Plavsic:ベース
Alex Plavsic:ドラムス、パーカッション
Tolvo Pilt:ムーグ、メロトロン、ピアノ、オルガン

曲はメロトロンが奏でる雄大な旋律で始まる。ギターとメロトロンがユニゾンでメロディーを奏でている。メロディそのものが美しい。キーボードが軽やかに雄大 な風景を描いていく。リズム隊が入りロック的なアンサンブルが同じメロディーを繰り返す。バックのギターのカッティングが気持ちいい。しだいに音に厚みが 加わり雄大な世界が広がっていく堂々のオープニングだ。歌が始まる。やわらかく表情のある良いボーカルだ。ダビングによるハーモニーも美しい。ボーカルは 滑らかなギターソロに引き継がれ盛り上がりを見せたところで、衝撃の2曲目へ突入。

静かなギターのアルペジオとシンバルの波に乗って、メ ロトロン・フルートがゆったりとした悲し気なメロディーを奏で始める。低音のメロトロン・フルートの深い音が胸に響く。メロトロンがメロディー楽器として 使われたのも、当時とても新鮮だった。そしてそこに漂うこのなんとも言えない透明で深みのある空気感が素晴らしい。至福の時間。居住まいを正して味わい尽くしたい音。

このメロディーをメロトロンストリングスが引き継ぎ、引き続きギターもアルペジオを続けながら、ボーカルが歌いだす。歌も上 手い。メロトロンが美しい。と思うと、ついに待ってましたのギターソロが始まる。甘美で力強い、感動的なフレージング。次第に上昇していくコード進行が曲を盛り上げていく。

そのまま曲はロック的なダイナミズムを増しながら3曲目に入る。ここではギターが粘り着くような違った魅力のソロを展開する。その後を受けてスピーディーなシンセソロが縦横無尽に動き回る。テクニカルではあるが雄大な曲調を乱さず、逆にギター主体の大曲において大きなア クセントになっている。曲はオープニングのリプライズに戻り、壮大な曲は雄大なメロトロンとギターのロングトーンで終わる。

残りの2曲はギターMario Milloの表現力を堪能できる、甘く美しいインストゥルメンタル曲。FocusやCamelを思わせる部分もある。ギター泣きまくりだ。

もう最初から最後まで言うことなし。テクニックに頼らず、メロディーと音と演奏のセンスの良さ、そして大胆なメロトロンの導入が可能にした、感動必至の超傑作。


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