2009年7月6日月曜日

「フェローナとソローナの伝説」

Felona e Sorona(1973年)

Le Orme(レ・オルメ)


Felona e Sorona」(邦題は「フェローナとソローナの伝説」)はイタリアのLe Orme(レ・オルメ)が1973年に発表した5名目のアルバム。最初に日本で紹介されたLPレコードの時は、英語で歌っているバージョンであったが、 CD化の際にオリジナルのイタリア語バージョンになった。

Le OrmeはEL&Pタイプのキーボード・トリオ。しかしその特徴はキーボードと格闘するかのようなEL&Pとはかなり異なる。

 Toni Pagliuca:キーボード
 Aldo Tagliapietra:ボーカル、ベース、ギター
 Michi Eei Rossi:ドラムス、パーカッション

第1の特徴はキーボードの音である。キーボードで使われている音色がとにかく良い。特に繊細で深みのある独特な音に処理されているオルガンが印象的で、この 音が全体のサウンドカラーを支配している。もちろんピアノやシンセサイザーなど様々なキーボードを使用しているのだが、音に厚みを加えていくというより は、多彩な音色を効果的に使って、少ない音でこの神秘的な世界が描かれて行くのだ。

もう1つの特徴はTagliapietraの柔らかな声である。情感を込めるタイプではなく、淡々と歌うのだが、とても美しい声で、特に高音がいい。そしてどこか“はかな気”な彼の声が、繊細なキーボードの音、そしてアルバム全体の薄暗さにとてもマッチしているのだ。

そしてやはりこうした繊細で少なめな音を活かせるのは、メロディーの良さがあってこそ。このアルバムはトータルアルバムでほとんど連続して曲が展開していくが、どれも印象的なメロディーで、アルバムのドラマチックな展開に貢献している。

あふれる情熱と手に汗握る演奏とは別のイタリア。繊細な美しい音、甘いメロディー、そして影のある世界。荒々しさはないが、知らない間にぐっと引き込まれてしまう、味わい深い傑作。

もちろんイタリアのバンドの作品だからイタリア語バージョンは大歓迎なのだが、LPで聴き込んだイタリア語訛りの英語の素朴さも捨てがたい思い出。英語バージョンも出してくれないものかと思っているのだが。

ちなみに最初に手に入れた当時、高校生であったわたしはこのジャケットにひいた。LPはCDとは違う30㎝×30㎝のサイズである。カウンターに持って行くのがはずかしかった。

でも「これは“
エッチ”じゃなくて“芸術”なんだよ」とか自分に言い聞かせたりして、ちょっと大人の仲間入りができた気がしたなぁ。


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